わんおふ -one off-
その町にはアークも無ければYSPもワールドも無い。しかし夢だけはあった。
アニメ『わんおふ -one off-』を観ました。
オリジナルビデオアニメのようで、配信サービスなどではなかなか観る事が出来ないかもです。円盤を買うのが一番なのでしょうけど、オンラインレンタルなどで視聴するのがハードル低めで良いと思います。一話30分の四話で終わるのでさらりと観れます。
主人公はジョルノで通学してて、お友達もみんなリトルカブやベンリィ、後輩はズーマーとみんなバイク乗り。
ところで、バイク小説・バイク漫画・バイク映画とそもそも主人公はどうしてバイクに乗り始めたの? って部分を私はどうしても気にしてしまうのですが、時間の限られた展開では前提条件として最初から乗っているものは多いですよね。
実はそれほど重要な事ではないのかも知れません。伝えたいのは「どうしてバイクに乗ったのか」では無く「こんなに素晴らしいんだぜバイク、どうして乗らないの」ですから。
この作品では冒頭から当たり前の様にバイクに乗っていますが、まぁ乗り物無いと死活問題よねって田舎町設定に加えて親もバイクに乗っていたりと疑問をゼロにするだけの十分な説得力がある描写です。
ネタバレにならない程度に内容に触れますと、優しい田舎町で繰り広げられてきた日常にバイクに乗ってやってきた旅人が刺激を与える、大まかに言ってしまえばそんな話。
多感な年頃の女子高生達の想いや悩みが旅人をきっかけにして動き始める。国井律子さんの著書をもじった本が出てきたりと小ネタあります。
では何故たかがバイクに乗るだけでみんなお悩み解決してしまうのでしょうか?
それはバイクに乗り続けるって事がそれだけで小さな成功体験の積み重ねになるからでしょう。しかも原付免許取得→バイク購入資金問題→親の説得→中型免許取得と、さらにいざ乗り始めても初めてのガソリン給油、昨日より一キロでも早くコーナーを抜けれた、初めてのYPVS故障等々、まるでよく考えられたRPGの様に少しずつハードルが上がり経験値が上がっていく。つまりバイクに乗り続けることそれだけで自分に自信がついていくのです。
じゃあ自信がついたら次は何をすれば良いのでしょうか?
ここからの選択って物語としては難しいですよね。そもそもバイクは一人で乗るものだし。
みんなで劇でもやる? それとも後輩の女の子を賭けて学祭でバンド対決でもやっちゃう? でも時間の関係で1クールで終わるかしら……。
私の場合『G.B.』ではみんなで修理やレストアと飲み会って日常にしたのですが、これだとドラマチックに恋しちゃえないですよね。
やっぱバンドしかないっすかね。曲作ったりとかクリエイティブでゴールがわかりやすいし。でもそしたら実際はバイクじゃなくてTwitter(現X)であたシコ画像上げて沢山イイネとDM貰って承認欲求満たした方が早くないですか?
話を逸らしまくった所で、さてバイク。
バイクは沢山出てきますが、それほどバイクがメインの展開ではなく、あくまでも生活の中のツールに徹底されているのでバイク乗り以外の方も楽しめるでしょう。
しかしながら登場してくる車種は全てがホンダ。圧倒的なホンダ車による数の暴力。ホンダ協賛なので当たり前と言えば当たり前ですね。アニオリではありますが、もし原作があって主人公の友達がスズキのオフ車なんかに乗ってたとしても、きっとその友達もホンダ車になる事でしょう。
そしてバイクメーカー協賛だけあって、車種による排気音も違ってて実にリアル。
他にも原案や脚本の方が良いのか、スカートの下にジャージといったバイク通学時の服装やヘルメットの選択、ステッカーやキャリアにアクセサリーとバイクを自分色に染めていくカスタムの方向性も本当に良く考えられています。違和感が全く無いので、なんでこのカスタムをしたのかってわざわざ文字数やコマ数を割かなくても充分伝わってきます。
バイクは自由な精神の象徴であるとともに生活に欠かせないもの。でもそれだけだと車を選んだって良いのです。
「別にバイクじゃなくたって」
「それでもバイクを選んだ」
生活必需品とは言え、根底にこの選択があるからこそのバイク乗りなのです。
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