メタルウインド(漫画)

 その機械メタルにはたましいが宿っている。……と思ってしまえる熱い漫画。


 ヤングマガジンの別冊、アッパーズという隔週刊誌で連載されていた吉永裕介先生のバイク漫画「メタルウインド」

 バイク映画もバイク漫画もそうなのですが、突っ込み処があればあるほどいい作品になっているというのが私の持論です。

 メタルウインド、突っ込み処満載な素晴らしいバイク漫画です!


 もうどこから話していいのかわかりませんが、それを見つけるのも読者の楽しみのひとつということで、ここではヤンキー君の握力の凄さ辺りをご紹介するに留めておきます。

 主人公と教習所スラローム対決をする為だけに登場するようなヤンキー君がいるんですが、なんとこの方! ラジアルタイヤに素手で釘を差し込める程の握力の持ち主。握力×体重×スピード=破壊力ですから喧嘩も相当強い筈。


 バイクに乗るということは、教習所に通うだけでも絡まれてしまうという、週刊少年チャンピオンかよってレベルの世界なんです。そんな主人公たちが巻き込まれていく事件や抱える問題、登場人物の背景などはベースがヤングマガジンというだけあり青年漫画寄りなのですが、ストーリー展開だけは少年漫画のようにとにかく熱く、引き込まれること間違いなしです。


 さてバイク。

 キャラの個性と乗っているバイクチョイスも見逃せません。

 若いイケイケのレプリカ(RGV-Γ、これを受け継いだ主人公がこの次に乗ることになるのが400Γとさらに胸熱)、暴走族上がりのRZ250、拘り無くただバイクに乗っているだけのスタンスだけど実は凄い改造されているGSX1100Sカタナを受け継いでいる先輩、ちょっと落ち着いている年上の先輩はオールラウンダーのTRX等々。


 だけど悲しいかな、連載の最後は「俺たちの戦いはまだ始まったばかり」的な「果てしなく遠い男坂を」的な打ち切りっぽい急展開で終わってしまいます。

 今となってはちょくちょくとバイク漫画に出会える良い時代になりましたが、当時はバイク漫画も全くと言っていいほど少なく、大好きな連載だったのでめっちゃショックでした。

 しかし、なんとコミックス最終刊ではその打ち切り後のレースやさらにレースから数ヶ月後の平和なエピソードも大増ページで描かれているんです!

 そのコミックス最終話に出てくる「確かみてみろ」的な最後の台詞もバイク脳にじーんと響きます。


 バイク乗りの方には本当に今更かも知れませんが「メタルウインド」オススメです!

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