走らなくてもバイク乗り!

笹岡悠起

湘南爆走族!

 漫画の実写化に失敗と言う概念が無い頃の映画。


 江口洋介さんや織田裕二さんのデビュー作で芸名もここから来ていると思っていたけれど、勘違いしていました。

 江口洋介さんはたまたま本名が漫画の主人公と同じ(一字漢字違い)だけだったし、織田裕二さんの役名はそもそもアキラでした。驚いたのは清水美沙さんもこの作品がデビュー作だったこと。三人とも公募オーディション。

 竹内力さんはさすがの演技力で、こちらの作品の方が「彼のオートバイ~」よりも少し後の公開の筈ですが、あの時の爽やかな印象とは打って変わってクールなワルを演じています。


 恥ずかしながら原作漫画の湘南爆走族は読んだことがないのですが、同じ原作者の作品で荒くれナイトは読んだ事がありまして、ネットでは内容は殆ど同じだと言われています。

 もしその通りならば、あのハチャメチャだけど楽しい雰囲気は良く出ていると思うし、熱い男達がこぶしで語り合う定番のストーリー展開は純粋に楽しめました。

 最近の傾向の実写化が成功か失敗かという評価基準自体が馬鹿らしいものだと思える良い作品でした。

 映像や演出が古く、観ていてこちらが恥ずかしくなるようなシーンもありますが、それはそれで映画でこういうノリができた良き時代だと感じます。


 バイク映画と言うよりはバイクの出てくる映画といった印象かな。


 だけど主人公達のバイク車種は原作に忠実です。あんまり詳しくないので間違いあるかもしれませんが、江口のGS400やアキラのCB400Tや権田のRZ等々。カラーリングや風防などの再現度もかなりのものです。

 もちろん、実写化に於いて小道具であるバイクが原作に忠実である必要はないと思っていますが、もし忠実であるならばそれはそれでファンの心をぐっと掴む要素になりえます。前述の荒くれナイトの実写化では車種がマニアック過ぎるということもあり、ほんの少しだけ原作から変更があって、ちょっとがっかりした記憶があります。続編では仕様など見直された様です。


 内容的には頭を使わずにストレートに楽しめる映画です。

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