人、それを神と呼ぶ。マジでか?
@aqualord
第1話 創造
俺があいつと約束したのはただ一つ。
新しい世界を作ろう。
それだけだった。
俺たちは再び会うことすら約束せず、お互いに背を向け、去った。
それから、俺は新しい世界を作り始めた。
最初に必要なのは適度に暖かい、そしてそれなりに長持ちする太陽だ。間違っても赤色巨星はダメ。
新しく作ってもいいが、俺はそこらに浮かんでる中からいい感じに若いのを選んだ。めんどいし。
次に必要なのは、生き物が育つ大地だ。惑星ともいう。
俺は頭の中でどんな生物を進化させるか考えながら水の多い惑星を作った。
惑星を作る時に大事なのは、ちょうどいい軌道に安定させることだ。
太陽からの距離が時期によって違いすぎると、せっかくの水惑星が氷惑星になったり水蒸気惑星になったりする。その両方を行ったり来たりなんてするともう最悪だ。
なので水が液体としてそれなりの長期間安定して存在する軌道に作った惑星をそっと置いた。
太陽が天然ものなので太陽活動の盛り上がり方で俺の惑星にも影響が出るだろうが、それはそれで変化を楽しめていい。
それから俺は軌道に置いた惑星をコマのように回してやった。
1ぐるぐるが1くるくるになるような、つまり公転周期が自転周期と同じみたいな手抜きは進化が止まってしまうこともある。惑星をぶん回すなんて指でちょいちょいすればいいだけだ。
惑星を安定させることと惑星に生まれる進化した生き物たちのスパイスになるように、それなりに大きい月も作って置いてやる。置く位置は気をつけないと惑星に衝突したり、バラバラになって降り注いだり、永遠の散歩に出てしまったりする。
次は他の惑星だ。その辺の岩石を丸めて内っ側に一つ、外っ側に一つ置く。
あ、内っ側の方、小さく作ったから丸める時に力が入り過ぎて内部が熱でドロドロになっちゃたよ。
まあいいや。
次はちょっと大きめのガス惑星だ。でっかいだけに目立つからデザインセンスが必要なんだよね。
一つ目。
とりあえず黄色の縞模様にしとこう。定番だし。
…俺ってあんまセンスねぇな。
二つ目。
こっちはもうちょい俺らしさを出してやる。
そうだ、紫の渦巻きをいっぱい散らしてやろう。そんで背景は白濁だ!
…ほんと俺ってセンスねえな。
痛感したんで三つ目はどっかの太陽系から弾き飛ばされてふらふら飛んでたのを持ってきた。青い縞模様で、まぁ定番っちゃ定番だ。
あとなんだっけ?
そうそう、小惑星だ。適当に岩や氷を散らす。氷は外側に置いとかないと原子にバラける。
彗星はオプションなんだけど、どうしよう。進化した生き物が現れたらなんて言い出すか見てみたいし、ウケもいい。これもばら撒いとくか。
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