白骸ボルシェブニック

雨虎 羅芥

一譚 手紙

拝啓 亜離茶様


お元気でしょうか。

こうして手紙を綴っていると、どうも少し切なくなり其方へ行きたくなります 


学園の前の桜並木は、貴方がよくぼんやりとしていましたね。今は神社の前の銀杏の木の前でそうしていることでしょう。


其方は日が暮れるのが早まり、秋の訪れを感じている頃でしょうか。


此方は相変わらず寒地ながらに、冷ややかな風が吹き出しました。

この時期からもう冬が億劫です。


貴方がいた頃に比べ、更に寒さが増した気もします。

帰ってくる際はお気をつけて、


あなたなら心配要りませんと思いますが。


こんな他愛も無い文章を、送りつけることをお許し下さい

もう直ぐ、大きな戦いが起こります。


貴方を巻き込んで始末ったこと、


貴方のこれからを奪ってしまったこと、


貴方に苦しい選択を迫らなければいけないこと、


其の総てが私の所為です

本当に申し訳ない


そしてそれと同時に、貴方を守ることを

我々が誓います。


そしてあなたが供に戦いに赴いて頂くことの幸せを噛み締め、必ず勝利を収めましょう。


お身体に気をつけてお過ごし下さい。



            XX12年 10/28 

ラル・キリシュ

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