lie 明日を得られない人たちと

星宮 穹

0話 生きることへの追走

 夢なんてありやしない。

 希望なんて信じれない。

 答えなんて数学算数みたいに出るような生易しいものじゃない。

 死にたいと思う、でもどう死ぬかと考えるとアレが怖いコレが怖いと怖いの無限牢獄へと引き込まれる。

 首を切ったとしよう、想像するのは刃物で切り裂いたときの肉面、血しぶき、倒れた時に首が取れた時の瞬間、そして骨の表層、食道が千切れて露わになる様。

 腹を切り裂いたとしよう。首同様切り開いた皮膚の光景、その後こぼれ出てくる小腸や大腸、肝臓膀胱などの内臓、あふれ出てくる血と未だ経験のない痛みという恐怖。

 それらが僕を今に引き留めている。

 一度、親の前で自殺を図ろうとしたこともあったがその場で止められてしまった。

 あの時死んでいればと後悔することもある反面、本当に自分にできたのだろうかと考え込むこともある

 生きることへの渇望はないが、死への恐怖で生きる日々。

 何を求めればいいのか、何を信じればいいのかわからないままいつも一日が始まり、そして終わる。

 今日は何をしようか...。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る