第15話 リベンジ
「おぎゃあっ!」
そう元気な産声を上げると共に僕は再び『ソード&マジック』の世界で人間として転生することに成功する。
今回人間として転生できたのは前回と同じく『ソード&マジック』の世界において5回目の転生。
4回目までの転生も特に問題なくこなした僕は産声を上げた瞬間から前回のリベンジに燃えていた。
だけどどんなに息巻いたところで生まれたばかりの赤ん坊の状態でダンジョンの攻略なんてできるわけがない。
今は大人しく僕を産んでくれた母親から母乳を貰って丈夫に成長する為の栄養を取らないと。
「お~、よちよち~。一杯飲んで早く大きくなるのよ~、私の可愛い赤ちゃんちゃん。う~ん、でもやっぱり少しでも長くその可愛らしい姿のままを見ていたいから大きくなるのはゆっくりでいいかな~」
母乳を飲みやすいよう優しく僕のことを抱き抱えて胸元へと押し当ててくれるふんわりとパーマの掛かった長いピンクの髪の女性。
勿論僕の母親。
そして今回から新たなに僕達とソウルメイトを組んだPINK-87さんだ。
【転生マスター】の力でその女性の頭上に青白い文字でPINK-87としっかり表記されているのが見える。
「あ~、そんなに夢中でむしゃぶりついて~。そんなに私のお乳が美味しんでちゅか~、ふふふっ」
PINK-87さんの言う通り僕は中毒症状にでも陥ってしまったかのように凄い勢いてPINK-87さんの母乳を吸い尽していく。
それ程までにPINK-87さんの母乳は濃厚で僕の味覚にこの上なくマッチしていた。
例えは悪いかもしれないけどまるで覚醒剤なんかの違法な薬物でも摂取しているような感覚だ。
っというのも……。
「えっ……。僕の好きな
「ええ。どうせなら好きな味の
「そんな……。母乳に味を付けて貰うなんて恥ずかしいよ。既に他の転生スキルで母乳の栄養価なんかも高めてくれてるみたいだしそれで十分だよ」
「何言ってるのっ!。折角栄養価が高い母乳を出せるようになっても私の赤ん坊として生まれたLA7-93ちゃんがちゃんと飲んでくれなきゃ意味ないのよっ!。母乳は単にあなたに栄養を与える為だけでなくあなたの肉体を守る為にも重要な役割を果たしているのっ!。いいから早く好きな
【母乳(メロン味)Lv5】
授乳させる乳児が望む場合のみメロン味の母乳が分泌するようになる。
スキルLvに応じて乳児の好みの味へとより変化する。
なる程。
母乳の味を変化させるなんて変わった転生スキルだとは思ってたけどRE5-87君の為に取得したものだったのか。
だけど実際に赤ん坊に転生しているならともかく霊界に帰って来てる状態で自分の好きな母乳の味を言うなんてやっぱり恥ずかしい。
「諦めろ、LA7-93。お前が好きな味を言うまでお袋は絶対に引き下がらないぞ。それにお袋の言う通り母乳の味を変える効果はかなり大きい。実際俺も母乳をメロン味に帰って貰ってからより健康な大人に成長できるようになった」
「そ……そうなの……」
「さぁっ!。RE5-87ちゃんもこう言ってることだし早くLA7-93ちゃんも好きな
「そ……それじゃあ……。強いて言うならイチゴ味……かなぁ……」
「私はみぞれ味でお願いします」
「イチゴ味にみぞれ味ね。それじゃあちょっと待ってて」
《ソウルナンバー・PINK-87は【母乳(イチゴ味)Lv2】のスキルを取得しました》
《ソウルナンバー・PINK-87は【母乳(みぞれ味)Lv2】のスキルを取得しました》
【母乳(イチゴ味)Lv2】
授乳させる乳児が望む場合のみイチゴ味の母乳が分泌するようになる。
スキルLvに応じて乳児の好みの味へとより変化する。
【母乳(みぞれ味)Lv2】
授乳させる乳児が望む場合のみみぞれ味の母乳が分泌するようになる。
スキルLvに応じて乳児の好みの味へとより変化する。
「うーん……。今私に残ってるソウル・ポイントじゃあそれぞれLv2まで上げるのが限界だわ。ちょっと味が薄く感じるかもしれないけど我慢してね」
「普通の味のままでも赤ちゃんにとって母乳は大好物なはずだからそんなに気にしなくても大丈夫だよ。でもありがとうね、PINK-87さん」
……っと『ソード&マジック』の世界に転生する前にこんなことがあった。
PINK-87さんが母乳の味を変える転生スキルを取得してくれたおかげでこうして僕は自分の思う以上に母乳を摂取できているというわけだ。
赤ん坊が母乳を貰うのを嫌がるケースがあるという話を聞いたことがあるがこれならその心配もないだろう。
転生マスターであり赤ん坊の内から母乳の重要性を熟知している僕なら味に関係なく母乳を摂取していただろうが好みの味であるに越したことはない。
赤ん坊の内にしっかりと母乳を摂取できたおかげもあって僕はこれまで以上にすくすくと大人に向かって成長していくことができた。
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