第2話 あふれる罪と罪の塔



 愛の塔を作り上げて

 涙の塔を崩していく


「妄信していけば不幸じゃないと思ったから」


 絶望の塔を作り上げて

 希望の塔を崩していく


「期待しなければ、それ以上傷つかずにすむと膝を折った」


 想いの塔を作り上げて

 絆の塔を壊した


「偽物の関係にはしがらみがなくていいやと楽な方へ」


 死の塔を作り上げて

 生の塔を壊した


「たとえ新たな命が生まれなくても生き続けていたかった」


 運命の塔を作り上げて

 限界の塔を壊した


「定められているなら何も超える必要がない」


――たくさんの罪が溢れている


――そのどれもが壮大な想いで覆われていて


――けれどかつては、とてもありふれたものだった


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る