第67話 海ダンジョン⑥
やって来ました五階層!
ウォータースライダーから着水した場所は、何と地底湖でした!
って、海は何処行ったんじゃ!
そして、一応の岸と言うか、岩丸出しの地面がある。
俺達は一旦船を降り、辺りを確認する。
すると、良く十階層毎に見る扉を発見する。
「ボス部屋か。」
そう、このダンジョンは五階層毎にボス部屋が存在するらしい。
ま、誰もここまで来た事が無いんだから、分かる訳ないよな。
俺達は一度ゆっくりと休む事にし、ボス部屋の近くに天幕を張る。
天幕を張った後、俺はひたすらウニの殻割をし、身と魔石を回収して行く。
何個か証拠として残しておかないとダメかな?
そうして殻を剥いた数、94個。
意外と疲れた。
10個程残っているが、これはギルドへ出そう。
「って事で、今日は海鮮丼!」
「そうだね。ウニ、海老、蟹、秋刀魚、鯛擬きがあるから、海鮮丼でも刺身でもいけるね。」
春香はそう言うと、手際よく刺身用に魚を捌いて行く。
骨やアラ、蟹の甲羅などは、出汁を取り味噌汁となる。その匂いに、イーリスもシャファも涎を出しながら顔を近付け臭いを嗅いでいる。
「出来たよ~!刺身にしておいたから、好きに食べて。」
春香のその言葉で、三人が一斉に刺身に向かって飛び掛かる!
俺は、海老、蟹、ウニの三種盛り丼!
醤油を掛けて・・・
「ん~、ンまい!海老はプリプリ、蟹はジューシー、ウニは甘くて蕩ける~ぅ!」
三種盛り丼を食べながら、ビールをグビグビっと飲む。
もう、最高!
「来て良かった。」
「ま、色々あったけど、確かに来て良かったね。みんなにもお土産出来たし。」
「のうのう、タクヤ!妾、またここに来たいのじゃ!この海老も、蟹も、ウニも、魚も、全部酒のツマミに最高なのじゃ!」
お前はそっちかよ・・・。
「ま、どっちにせよ、ここのボス倒さないとどうにもならないがな。」
そう、戻りたくても、三階層、四階層共に戻る為の階段が無いのだ。
なので、また漁獲したいのならボスを倒すしかない。
「妾に任せておくのじゃ!」
「ああ、多分そうなると思うぞ。リズも遠距離から頼んだ。」
「お任せ下さい。」
そんな感じで本日も恙無く終了した。
明けて翌日。
俺達は、天幕を仕舞うとボスへと挑戦する。
張り切るシャファがボス部屋への扉を開け、中へと入るとそこは海だった。
「いや、意味分からんし。」
青い空、白い砂浜の先には、何やら蛇の様な生き物が海面から首を出している。
「ほう、あれはシーサーペントじゃの。あんなのは余裕じゃ。」
シャファはそう言うと、何処からとも無く大鎌を取り出す。そしてそれを片手でクルクルと回しながら、シーサーペントへと近付いて行く。
圧倒強者の気配をダダ漏れにさせながら、右手で武器をクルクル回し、自分の方に近付いて来る魔王シャファ。
シーサーペントからすれば、たまったもんじゃない。ジリジリと後ろへと下がるシーサーペント。
逃げたい。しかし、逃げられれない。
ジリジリと迫る魔王シャファ。
そして無常にも告げられる死の宣告。
「一振りじゃ!」
その言葉と共に、シャファの右手が動く。
ビュンッ
その瞬間、シーサーペントの胴体は二つにずり落ちる。
哀れ、シーサーペント。
「終わったのじゃ。」
シーサーペントを一瞬で倒したシャファが戻って来る。
砂浜には、シーサーペントの魔石が落ちている。そして、金色の宝箱が現れた。
俺は宝箱の罠を外し、中を見る。
「シーサーペントの革、牙三本、肉三塊、槍、本?、宝石、金の入った袋だな。」
槍は、ミスリルの槍。
本は、魔導書なる物だ。
宝石は赤いから、ルビーかな?
袋の中には、白金貨2枚入っていた。
「これ、出口は奥なのかな?」
俺は、シーサーペントが居た方を見る。
普通なら、扉がありその扉を入ると転移魔法陣と、下に降りる階段がある。
しかし、見る限りそんな扉は何処にも無い。
「行ってみれば分かるじゃろう。」
「ま、それしかないんだけどな。」
俺は宝箱の中身をストレージに仕舞うと、波打ち際へと向かいMk.Vを出す。
全員が乗り込んだのを確認すると、俺は船を出す。
船は波を切って前へと進む。
そして、最初にシーサーペントが顔を出していた付近を通り過ぎた時だった。
突然目の前に現れた大渦が現れる。
「げっ!こんなん聞いてねえぞ!」
俺は必死にその渦から逃れようと舵を切り、アクセルを踏み込む。
しかし、羅針盤はその渦の中心を指している。
「全員、キャビンへ入れ!確実にあの渦の中に行かないといけないみたいだ!」
俺は全員がキャビンに入るまでの間、ひたすら飲み込まれないように耐える。
が、こういう時ってどうにもならないもんだよな。
必死に舵を切り、アクセルを踏み込んではいるのだが、船は渦の方へと引き込まれていく。
そして、後ろを振り返り誰も居ない事を確認したら、俺は渦目掛けて舵を切る。
「渦に入るぞ!衝撃に備えろよ!」
聞こえるかどうかは分からない。
ただ、伝えないとと言う思いでそう叫ぶ。
そして、俺達は船と共に渦へと消えて行く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます