39話 進捗

あの夜が明けてから2日目の朝だ。


彰は、憂鬱な気持ちを押し殺しながら、布団から起きあがり、会社に行くための身支度をする。


支度を済ませ、家を出ようとすると、インターホンが鳴った。

ドアを開けた先には、八重樫が立っていた。


「お、おはよ...彰。」

「おはよう。美咲。」


あの晩以来、顔を合わせていなかった二人は、お互いなんとなく恥ずかしかった。


挨拶をして、彰がドア前で立っていると、八重樫が玄関に上がってきた。


「ちょ、美咲... 今部屋汚いから...」


すると、八重樫はぎゅっと彰に抱きついた。

そして彰の顔を見上げ、キスをした。


「まだ朝だって...」

「いいの、私がしたかったんだから。」

「会社行くよ。」

「はいはい。」


八重樫は上機嫌に彰の部屋を出る。

それを追うように彰も部屋を出た。


・・・

・・・


会社に着くと、本田が先に着いており、ニヤニヤと彰と八重樫を見つめた。

それに先に気付いた八重樫は本田をにらむと、本田は顔を背けた。


いつも通り、9:00から朝礼が始まり、それぞれが業務にあたっていく。


・・・

・・・


仕事が充実していることもあり、気付けば日が暮れている。


オフィス全体が、今日の仕事を終え、帰宅するムードだったので、彰も帰ることにした。


八重樫は用事があるから先に帰るようにと言っていたので、彰は一人で先に帰る。


・・・


彰が帰る道中、踏切で電車が通過するのを待っているときだった。

彰は、踏切を挟んで向かい側から視線を感じた。

視線の先を見ようとすると、電車が通過した。

そして、電車が通過した後には、そこには誰もいなかった。


「なんだったんだろ... 気のせいかな?」


ただの偶然や、気のせいではないような気もしたが、そう思い込み、帰宅した。


家に帰った彰は、ゲーム制作の進捗を見直し、進行の遅れている部分の把握と、今後のスケジュールを作り直していた。


「えーっと、キャラ班が少し遅れてるのか... 伸ばせてもあと一週間ってとこか。

あとは、シナリオは順調、モーション班も大丈夫そう、プログラミング班がちょっと遅れてるけどまぁ大丈夫ってとこか。」


β版の提出まであと2ヶ月ほどなので、彰はスケジュールの管理をより細かくすることを求められていた。


「まぁ今のところ大きな問題もないし、このまま進めて行こうかな。

あとは、一旦このスケジュールを八重樫さんに見てもらってと。」


そういって、ファイルを添付し、それをメールで八重樫に送った。


その後彰は、ベランダで煙草を吹かし、シャワーに入った後に眠りについた。


・・・

・・・

・・・

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