第2話
椎名教授は若くしてなんとか博士号を取ったとかいう凄い人らしい
らしいというのもよく知らないのだ
第一代大学に在籍して講義を受けたところでその人間がどんな資格だの
経歴だの興味が一切ない
年寄りが若者、と一括りにするように私たちもお年寄り。の一括りでまとめて偉い人間が何人集まろうとも全員が70歳オーバーなら年寄り集団の一つに過ぎない
椎名教授は比較的教授というには若いがせいぜいが40前後だと思う
正確な年齢はよく覚えていない。一部で偉い人という噂を聞いたにはさらに補足がありもう少し若ければ、と騒いでいたからだ
確かに30代ならモテたんだろうなという感じで今流行りの俳優にも似ている
が、くたびれたスーツに身を包んだ若白髪とクマのある疲れ顔がそれを相殺していた
細身のため見苦しくはないが惜しい人、という扱い
私はランチタイムに食堂を闊歩していた
手には日替わり定食という名のハンバーグと味噌汁にお米
小鉢はお気に入りである茄子の揚げびたしだ
それを机の上にだん、と置き既に座っていた男性を正面からにらんだ
「椎名教授、昨日3丁目にいましたよね」
どう答えるかと思えば無視された
「え?聞いてます?椎名教授!」
「うるさいね。どこの誰だいきみ」
目も合わせずに心の底から疎ましげに言われた
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