第14話 ポピュラーに

 確かにジョーダンの言う通りだ。



 昔話しは主に子供たちへ読み聞かせるため勧善懲悪でハッピーエンドが多い。



 花咲かジイさんしかり、コブ取りジイさん、わらしべ長者、サルカニ合戦もだ。


 例外は、『かぐや姫』と『鶴の恩返し』くらいだろう。

 

 ゆっくりとジョーダンは話し始めた。



「浦島太郎は、浜辺でイジメられている亀を助けたのに最終的に龍宮城から故郷へ帰るとスゴく時間が経って、父ちゃん母ちゃんも兄弟、友達もみんな死んでて、さァ!!」

 さらにジョーダンは話しを続けた。


 確かに、その通りなのだがカレが話すとヤケに軽薄な内容に思えてくる。



「挙げ句に、乙姫から預かった玉手箱を開けると、一瞬でおじいさんになっちまうんだろ」

 ジョーダンは玉手箱を開けるジェスチャーをした。



「まァ、昔話しだから、諸説あるよ!!

 元ネタじゃ、オチが違うんだ!!」

 仕方なくボクも話しに割って入った。


 いちいち昔話しを訂正するのは面倒なのだが。



「え、オチが違うのか……」

 


「あァ、そうだよ。御伽草子の元ネタによると……。

 浦島太郎が故郷へ帰ると、何十年と経ってたッて、ところまでは同じさ。

 両親も兄弟も既に亡くなっていて、故郷はすっかり様変わりしていた」


「ふぅン、そのあと、どうかなるのか」



「あァ、故郷で茫然としていると、乙姫から貰った玉手箱に気づいて、不意に蓋を開けると白い煙りが立つんだ。

 すると浦島太郎は一匹の鶴になっちゃうんだよ」



「えェ……(☉。☉)!!! マジで!!

 浦島太郎ッて、玉手箱を開けると鶴になっちゃうの」



「あァ……、そして鶴になった浦島太郎は不老不死の蓬莱ほうらい山へ飛んでいき、理想郷そこで亀の化身だった乙姫と再会して結ばれたッて話しなんだ!!」



「ン、不老不死の蓬莱山ねえェ……」




「だけど、その後アレンジを加えて、玉手箱を開けるとおじいさんになるッて話しの方がポピュラーになったんだよ!!」








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