俺は認めんぞ!

御野影 未来

プロローグ

 いつもの校舎を出て、いつもの校門を抜け、そしていつもの道を通り、いつもの友達と下校、、おっとそんなもんはいない、かも。

 桜の木は緑で生い茂り太陽の光に照らされ踊っている。周りには人目を気にせず大きな声でお喋りをしている人たちがあちらこちらにいる。そんな俺の横にいるのは幼馴染の桜田麗香だ。名前の通り容姿端麗で学校でも一目置かれる存在だ。黒くて長い髪を蝶のようにひらひらと美しくなびかせながら今日も平然とした顔で俺なんかの隣を歩いている。

 クールで真面目な性格。なんといっても怒った時の顔はめっちゃ可愛い。もう一度言おうめっちゃ可愛い。

 俺はきっと麗香のことが好きだ。これは内緒にしておいてくれ。一体俺はなんの話をしているんだか。話を戻そう。麗香は話し方に少しトゲがあるが別に怒っているわけではない。

 あ、俺の名前は佐々木翔。

 今日はラノベの新刊の発売日なので気分があがっている。不思議とこの日は足取りが軽い。


 「この道いつもと違うけど、まさか今日もラノベの新刊とやらですか?少し前にも買ってたよね?」

 この話の流れはよくある。学校帰りに寄る所といえば本屋。俺はいつも通りに返事をしておく。

 

 「そのまさかのラノベの新刊を買いに本屋に。やっぱ欲しいものはすぐに手に入れたいと思っちゃうじゃん?

あー、別にお前はついて来なくてもいいからな」


 「一体どこからそんなにお金が湧いているんだか。私は暇じゃないんで、家に帰って今日の授業の復習したいし、言われなくても帰りますよ!」

 と、まあ普段は一緒に帰っているのだが新刊の発売日はほとんどいつもこんな感じだ。

 少し強気な口調で言っていたが、目は悲しそうに見えたのはなぜだろうか。もしかして俺のことが好きなのかな。

 自意識過剰。そんなことあるわけないか。そんな俺の理想を想像しながら足早に本屋に向かう。

 今日も青い空が広がっている。


 

 へいへーいと適当に相槌を打ちながら麗香とはわかれ俺は本屋に向かった。

 あったあった今日の目的の本。異世界の話が俺は1番好き。この続きめっちゃ気になってたんだよね。待ってこの本も面白そうだし買っちゃおうかな。こんな場面にみんなも出会ったことない?本屋あるあるだと俺は思ってる。

 よしっ、早く家に帰って読むか。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 なんだよこれ、また続きが気になるやつだ。続きが待ち遠しい。 

 いつのまにか時計の針は0時を回っていた。勉強、は今日はいっか。眠くなってきたし寝ようかな。

 手が全部入るんじゃないかってくらい大きなあくびをしながら布団に潜り込もうと足を入れたその時俺の体に何かが起こる。正確に言えば俺のベッドにだが。



って、ん?え、あ、え、ちょ何この光。

 俺は突如出現した光に戸惑いつつも異世界転移もののラノベを読んだばかりの俺はラノベ的な展開に胸を躍らせていた。

 体に浮遊感を覚えながらだんだんと周りが光に包まれる。

 そして浮かび上がったのは魔法陣らしきもの。

 これってやっぱりラノベ的には異世界に飛ばされちゃう系?

 誰か教えてーー




 

 

 

 

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