悪魔は私に褒められたい

あめ玉

第1話 ふたつの国

 いつも喧嘩している隣り合う二つの小さな国。

 国土、人口、習慣、流行何もかもがよく似ている。他国から見ればどちらも同じ。差は無い。しかしお互いに自国が勝っていると主張し、長年に渡り張り合い続けている。


 今年は数年に一回開催される国対抗の大運動会の年。その開催地に一方の国は選ばれ、もう一方は選ばれなかった。たったそれだけで全てが同じだった二つの国の均衡が一瞬で崩れる。


 恨み、辛み、妬み、嫉み、僻み——あらゆる負の感情が小さな国の中で一斉に爆発。


 純度が高く、膨大な負のエネルギーは悪魔にとってはご馳走。大量の悪魔が我先にと集結。


 悪魔は欲張り——

 どれだけ沢山あろうとも、全てを独り占めしたい。独占欲の塊。各地で喧嘩が始まり、次第に大規模な争いへと発展。共喰い、合体、進化を繰り返し奪い合う。最終的に二体だけが残った。


 悪魔は負けず嫌い——

 合体すれば独り占めできる。しかし二体ともが相手に勝ち、独占することを望んだ。


 二体の悪魔は、堕天使ルシファーと魔王サタン。

 最終決戦の行方は——

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