【緑園寺 茉莉視点】白の魔法少女
私、緑園寺 茉莉が魔法少女たちの間で話題の【白の魔法少女】と出会ったのは樋口さんと妹のことで相談をしに、久々に魔法少女課を訪ねた時だった。
その日は平日の昼だったこともあって中高生の魔法少女がおらず、職員以外はゼロに等しいぐらいだったから、談笑する3人は一際目立っていた。
「ホントにもったいないなぁ。折角、強いチームだったのに」
「名残惜しいですが仕方ありませんよ。山井さんと吉永さん、あのお二方をチームワーク良く組ませるのは至難の業でしょうから。」
「……まぁ、確かに。」
後ろを通り過ぎるなかでふと浪埜さん、杉崎さんの会話相手が気になった。
どうしてかと言えば、二人が世間話に花を咲かせている中でただ1人だけ五分咲きのダウナーなテンション、絵の具そのままの色みたいな印象的な白髪………その特徴が件の【白の魔法少女】と一致してたから。
「おや、これはこれは茉莉さん。」
「お、茉莉ちゃん。1年ぶり〜。」
「杉崎さん、浪埜さん、お久しぶりです。それと、はじめまして。」
「初めまして。」
彼女に視線を向けていると、私に気づいた杉崎さんに声をかけられた。
私が挨拶すると、二人とともに彼女も私の方へ振り向き、会釈する。
「浪埜さん、この方は?」
「ああ、そっか。茉莉ちゃんは会うのも、見るのも初めてかぁ。この子は」
「梔子真白………もしかして【白の魔法少女】の梔子真白さん……じゃないですか?」
「そうだよ、この子が最近話題の梔子ちゃん。ほら、イェーイ。」
「…梔子真白です。」
梔子さんは浪埜さんに手を振るみたいにブラブラ腕を揺すられながら、抑揚なく返事する。
「いやはや有名人ですね、梔子さん。」
「クシャミ増えるかもね。」
相変わらず淡々とした様子で彼女はおどけたセリフを小さく呟いた。
ーーーーーーーーーー
次に会ったのは1日後だった。
偶然、高校からの帰りに2人と鉢合わせし他愛のない話をして別れた。
そして、2度目に会ったのの翌日、つまり今日の今現在、目の前に梔子さんがいる。
今度は私が1匹のヴェイグリアと戦闘し終えたところだった。
知り合ったばかりでこんな3日連続で会うなんて………これは彼女にも妹のことを相談しろというお告げか何かかもしれない。
「ねぇ、梔子さん。」
「何?」
「少し相談したいことがあるの。近くのカフェでお茶でもどう?」
「……いいよ、ボクなんかで相談相手が良いなら」
私は変身を解き、スマートフォンで近くのカフェを検索にかけた。
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