電話

「もしもし?」

『もしもし?』

「ああ良かった、こっちの電波が悪くてね」

『いや大丈夫』

「そっちの方は上手くいったかい?」

『まあ、ぼちぼちかな』

「そんな寂しい事言うなよ。なんだかんだ言ってお前はいつも上手くやってくるだろ」

『うーん、でも今回は大丈夫だと思うよ』

「ほらな。まあこんな所でこんな話をするのもアレだから、とりあえず俺もそっちに向かうよ」

『うん、じゃあ俺もそっちに行くようにはする』

「じゃあ、いつも通りあの埠頭で待ってる」

『頼むよ。今回は確実に連中を挙げられそうなんだ』

「一応言っておくが、途中でパクられんなよ?」

『そうだな、最後まで泳がせてから全員挙げよう』

「それじゃあ」

『それじゃあ』


 ガタン


「『あっ、すみません』」


 トイレから二人の男が出てきたと思うと、それぞれよそよそしくビルを後にした。

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