第2話
俺は教室に入ると、文香が読書をしていた。こいつが俺のもう一人の味方だ。アニメオタクでよくラノベを読んでいて、集中するとこっちの声か聞こえなくなるほどだ。よく本を読んでいるときはこうなる。
「文香もう休み時間終わるぞ」
やはり一応言ったか聞こえてないようだった。まぁいつものことだ。こ言うときはこれを言えばどうにかなる。
「あ、兄さんがこっちを手を振っている」
「え?どこですか?」
そう何を隠そう、文香も兄さんのことが好きだった一人だ。ちなみに幽霊も見える。
「いないじゃないですか!」
「兄さんのこと言わないとまた先生に怒られていただろう。授業中に本を読むなと」
「もうそんな時間だったんですか?」
「ラノベを休み時間に読むのをやめた方がいいんじゃないか?集中しすぎるだろ」
「そうですね。家の方がゆっくりと読めますしそうします」
チャイムがなり俺も自分の席に戻った。そして授業が終わり俺は教室をるんるんした気持ちででた。久々のデートだ。するとさっきまで楓の近くにいた兄さんが戻ってきた。
そう俺は陰陽師だから幽霊が見える。楓は見えないがまだ成仏しないでふらついていることは言っている。
『まさか俺のやり残したことをやろうとするとはな』
『楓はそこのところを気にしていたからな。まだ成仏しないのはやり残したところがあるからだと』
『甲子園に行けなかったのは心残りだったがーそれとやっぱり俺のことをまだ追っている楓が気になるしな』
そう鈍感な兄さんは生きていた頃は好意に気づいてなかった。まさしく鈍感系主人公である。まぁ気づいていたら既にもう一人の幼馴染みあことくっついていただろう。
『そうだな。あのままだと前に進めないから俺から提案したんだけど、それでよかったの?』
『ああー俺は楓のこともことも心残りのひとつだがーやはり高校で青春できなかったのと、甲子園にでれなかったことが心残りだったしな。それじゃあ俺はあこのもとに行くわ』
そう言ってふと消えると気配があこのもとに向かった。急に現れないでよとか言っているんだろうな。兄さんの心残りーそれを解消して、成仏できるようにするか。生まれ変わればまたあこは生きた兄さんに会うことができるかもしれないし。
とりあえず駅で待っているか。校門で待っていると、めんどくさいやつに絡まれそうだし。
駅に着くと、俺は喉が渇いたのでマッカンを買って飲んだ。この暴力的な甘さが喉に染み渡る。ああ、最高だ。今ならCMでれるくらいカッコいいんじやないだろうか?
「また飲んでるの?清治くん」
「人生っていうのは大変なんだから、飲み物くらい甘くてもいいだろ」
「それ清治くんも言っていたよ」
そう言って楓はクスクスと笑った。兄さんも同じこと言っていたのかやはり兄弟だな。今度マッカンをお供えしよう。心込めればお供えも飲めたり食べれたりするんだよな。
「あんまり飲みすぎないでよ。糖尿病になるからね」
「マッカンが俺を蝕むことはないぞ」
マッカンは神の飲み物だからな。糖尿病なんてならない。
「まぁほどほどにね。それじゃ行こっか」
俺達は幕張豊砂に向かった。学校帰りの人も多いから変装して正解だったわ。長い前髪をオールバックにしている。この方が兄さんに近づけるしな。兄と近い方が楓も嬉しいだろう。
「それで清春くんは清治くんのしたいことも知っているの?」
「まぁ知っているぞ。ノートに書いていたしな。制服デートや甲子園に行くことだな。他にもあるが主なものはそんな感じ」
高校時代は入学して2ヶ月で癌が見つかり手術して、野球どころじゃなかった。それで二年生な時に転移していて亡くなったって感じだ。手術して治ったと思ったからショックはでかかった。これは兄さんを好きな人も同じ気持ちだろう。だから放課後制服デートとかはしたかったんだろう。
「そうなんだね。私も清治くんとしたかったなー」
「着いたな。降りるか」
俺達は電車を降りて、イオンに向かった。兄のしたかった制服デートーまぁ俺もしたかったんだけど。今までは兄さんのことが好きだからこれ以上勘違いをしないようにと一緒に出掛けなかったんだよな。
だが今はやりたかったことをやるという理由がついている。だからなんの憂いもなくデートができる。兄さんに任されているって言うのもあるしな。なんとか新しい恋ができるようにしなくては。
イオンに着けと相変わらずのでかさに俺は千葉の宝だなと思った。
「清春くん服買いに行こ。清治くんと服選んでもらうのやりたかったんだー。いつも清治くんの服を選ぶ方が多かったからね。自分のを選んでもらうことなんてなかったから」
「まぁ兄さんはファッションには興味なくってダサかったからな」
俺も兄さんほどでもなかったが、更けには興味がそんなにないんだが。まぁダサくはないが。兄さんは選んだものは一点物ならいいんだが、合わせるとなると途端にださくなる。特に上に着るものがダサい。
俺は女子が好むものなら選ぶのは得意だ。文香にも誉められたし。まぁそれを着て病院に言ったが兄さんには特に触れられなかったらしいが。着れればなんでもいいと思っているからな兄さんは。
「まぁI Love千葉ティシャツはなかったね」
中学生の頃だが、まさかあのティシャツでデート行ったと聞いたときは驚いたな。さすがにださすぎだろと思ったからな。これはあことのデートもそんな感じだった。そんなことを考えていると、服屋に着いた。俺の腕の見せ所だ。
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