駅前ムーブメント2

雨が降り続く駅前では、濡れるのも構わず多くの市民が雄叫びをあげていた。


疲れ果て痩せた汚いスーツを着た中年男性が、黒いナマコのようなもの、すなわち上級国民の若い男から切り取ったチンポコを持って嬉しそうにしていた。


「あんた、いいな、それ!」


左目が潰れたゴツいおっさんが声を掛ける。


疲れ果て痩せた汚いスーツを着た中年男性は上級国民のチンポコを頭上に掲げる。


「娘に見せてあげたい!これは!上級国民のチンポコなんだ!うわあああ!」


つい嬉しくて叫んでしまう。


駅前でタスキを掛けて多くの人々を侮辱していた若いスマートな男は市民の怒りの鉄槌により殺害された。


死体は散々サバイバルナイフで切り刻まれてもはや原型はない。ミンチ。肉片である。かろうじて頭部は身体から切り離されて老人がフェラチオさせていた。


「死体フェラきもちい!でる!でるぞ!」


上級国民である若いスマートな男の生首のその口腔に大量射精。老人は満足して生首をその辺に捨てる。


「イエイイエイダンス!イエイイエイダンス!市民の勝利を歌おうよ!市民の勝利を踊ろうよ!」


どこから来たかわからない坊主頭で岩のような顔をしたブサイクな全身にイボがある35歳くらいの男がギターを掻き鳴らして歌い出した。


だが、誰も同調しない。


タンクトップ姿で臭いそんな男のダミ声によるわけのわからん歌唱になど、微塵も心を動かされない。むしろ不愉快だし消えて欲しかった。


「イエイダンス!イエイイエイダンス!イエイダンス!イエイイエイイエイ!」


図太い男は歌い続けた。


周りには誰もいなくなる。


お前、世界中から嫌われてるの気づいたらどうなんだ?とか、声を掛ける人はいないらしい。


いつの間にか雨は上がり、光が、あたりには降り注いでいた。

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