第2話嘆くモデル
死者が住まう恐怖の市営団地。今回は二階へと上がることにした。
すると「202号」の部屋から、何か音が聞こえた。
私が部屋へと入っていくと、そこには髪が長い美しい女性がいた。
「あの、おじゃましてもいいですか?」
声をかけたが聞こえていない、やはりこの女性も幽霊だ。
女性は服を選んでいるようだ、いろんな服を持ってきて自分に合うのを選んでいる。
しかし女性が持ってきた服はかなり古く、傷みもひどい。おそらくかなり前から放置されていたのだろう。
女性の表情はウキウキしている、これからデートにでも行くのだろうか・・・。
すると女性は机の上に置かれたガラケーを手に取った。
「おっ、これは誰かから連絡があったということか?」
そして女性の表情がワクワクから驚きへ変わり、さらに絶望へと変わった。
そして女性はその場で泣き崩れてしまった・・・。
一体、あの電話は何の知らせだったんだろう・・・?
私がそう思っていると今度は、女性は部屋の隅で座り込んでいた。
そして急に何かに怯えだして、耳を塞ぎ身を震わせた。
「早く行って・・・、早く行って・・・。」
近くに何か恐ろしいものがいるというのか、女性はずっと呟いていた。
そして耳から手を離して、辺りを見回した。
安全を確信した彼女はホッとして、立ち上がった。
でも彼女は前見たときの華やかさはなく、目も虚ろになっている。
その目からポロリと落ちる涙は、彼女の嘆きだった。
後に知り合いに調査してもらった結果、この部屋に住んでいた女性は
今から十二年前、売れないモデルだった彼女だが彼氏がいて幸せな日々を送っていた。
しかしその彼氏が交通事故で急死、彼女は悲しみにハマりこんでしまい、モデルの仕事も続けられなくなった。
そして生活費が底をついた彼女は、なんと闇金に手を出してしまった。
怯えていたのは、回収に来た取り立て屋ということだった。
そして今から十年前、田代は絶望からのがれるために、自殺したのだった・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます