第二話  新たなるメンバー

     二  新たなるメンバー


 ロンスが出来て約二週間を経つ頃には十人ほどのメンバーが新たに加入してきた。皆それぞれ個性を持っている人たちばかりでボスから見れば期待の眼差しを向けてしまう。加入してくれた人たちの中には柊が保護した異能や飢餓してしまいそうな人を保護しそのまま入ってくれた人が大半だった。だからなのかメンバー同士仲が良い気がする。しかしその中でも優秀な人材が一人いた。白飴赭。元殺し屋、独学で開発した飴を操って任務にあたる。だが白飴も永月同様殻に閉じこもっている。まるで人なんざ信用しないとオーラで感じるくらいだ。一つ疑問なのが白飴は異能者ではないのに片目の結膜が黒いのだ。だが白飴にそのことを聞くと威嚇するばかりに何も答えない。過去に何かあったのだろうかと思うが聞けないので仕方なくそのまま放置中。

 数日が経ち始めての会議を開いた。会議内容は取り敢えず最初なので簡単に自己紹介と役職決め、そして最初の任務についてだ。そして会議を始めようと最初に柊が席を立った。

「じゃあ最初は簡単に自己紹介しよう。知っているかもだが、俺は柊怜緒。このロンスのボスをしている。何かあればいつでも言ってね、宜しく」

柊を基準に時計回りで自己紹介していこうと言い、次は柊の隣に座っていた永月の番だった。

「…永月夜紅です。宜しくお願い致します」

席を立ってはシンプルに名前を述べ、ペコリと皆に向かってお辞儀をする。

「じゃあ次」

「はい、俺の名前は霧雲千夜。宜しく」

「次」

「はい、僕は迩陰翼と言います。異能の持ち主です。宜しくお願いします」

何人かの自己紹介を終え気付いたら最後の番になっていた。

「じゃあ次、白飴」

「はい‥白飴赭って言います。宜しく」

全員の自己紹介が無事終わったところで柊が口を開いた。

「よし、皆これからよろしくな。次に役職だが、これは俺の方で勝手に決めさせてもらった。まず永月、お前にはアンダーボス、つまり俺の次のボスっていう役に付いてもらう」

「了解しました」

「次に迩陰、お前は幹部として永月と協力して周りの奴らをまとめてくれ」

「承知いたしました」

「次は白飴、お前は医療班として怪我した奴らを手当てしてやってくれ、勿論他の仕事を任せることはあるからそこら辺承知しといて」

「分かりました」

全てのメンバーの役職決めが終わり最後の難関ともいえるだろう最初の任務について柊は事細かく説明した。

「…てな訳で今回はこのような任務になる。勿論ここからは生死が関わってくる。やりたい奴はいいが最初だからそんなに無理はしなくていい。誰か希望する奴はいるか?」

誰も手を挙げない。そりゃそうさ、ここからは生死に関わってくる。最初の任務で命を落とす奴も勿論現れてくるだろう。裏仕事なんざそんなものさ。やっぱりか、と苦笑しそうな柊の目に一つ挙がっている手が見えた。手の持ち主を見るとアンダーボスと役づけられた永月夜紅だった。

「…永月?」

「皆さんが行かないなら私が行きます。それに表社会から逃げてきた人間に最初からこの仕事はきついと思いますので」

真剣な眼差しで柊を見つめる。柊は驚いた表情をしていた。

「確かに皆元はと言えば表社会にいた人たちばかりだ。だからといって君もその一人なんじゃないのか?」

「いいえ。お言葉ですが、私は幼い頃からこちら側の人間です。それなりの経験はあると思います。それに初心者が任務にあたったとしてももう帰って来れないと思いますよ。まだ経験が浅いので最初から実践ではキツイかと…なので他の方々はまず知識と技術を学んだほうが効率的だと私は考えます」

周りも確かにと頷く。

「分かった。取り敢えず今回は俺と永月で行こう。他の者たちは…白飴、あいつに色々と教わっていろ」

「…は?」

白飴がポカンと口を開けて呆然としている。急に言われたんだ。普通の反応か。

「お前確か経験者だよな?なら皆に人間の急所とかどういうやり方で行うのか等の知識とかを皆に教えてほしい、頼めるか?帰ってきたら俺も永月も一緒に教える。これでどうだ?」

「分かりました。それで進めるならやります」

白飴は渋々了承した。

「ありがとう、助かる」

それに対し柊は白飴に感謝を述べると二カっと笑った。

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