“悩み事”

あの後いつの間にか眠ってしまっていた。


時計を見てみると、夜中の3時だった。


「目と腰が痛い...」


今日は学校なのに。


「Twitterでも開くか...」


ボクはTwitterで「祐介。」という名前でいる。


ボクの望む名前だ。


ボクはヒカリという名前なんかよりも


「祐介」でありたかったんだ。


Twitterを見ながら日記を書くのは難しい。


「はぁ...誰か起きてる人いねぇかな。」


Twitterで「誰か喋れる人いますか。」と聞いてみた。


そしたら1人のフォロワーから返信が来た。


ツバキという名前の人が返事をしてくれた。


「良かったら眠れるまで通話しませんか?」

「もちろん(◍´꒳`◍)」


ボク達は連絡先を交換した。


「もしもし...」

「もしもし〜」


どこかで聞いたことのある声だ。


「...アナタどこかで聞いたことあるような声してるわね」

「君こそ...もしかして」

「ツバサ?」「ヒカリ?」


やっぱり


この声は女子に近い声をしているが少々男混じりな声で、とても印象的だった。


「ねぇ...今何か悩み事とかあるかしら?」

「...なんで?」

「声に少し元気がないけれど...」

「そっちこそ」

「ア...タシは元気よ」

「良かったら悩み聞くよ」

「実は...アタシ周りに趣味を否定されてばっかりで...」

「うん。」

「アタシは...女の子らしくいることが好きなの。」

「...うん。」

「アナタ...引かないの?」

「だってボクも似たようなとこあるし...」


ツバサは初めて会った時もどこか少しオドオドしていたような気がした。


「ボクもね...ツバサとは逆で男らしくありたいんだ。」

「そう...なのね。」

「うん。」

「今まで何回も男らしくあることを親に否定されて、服だって何枚か捨てられてきたし...一人称変えないと「女の子らしく」って怒られるし...」

「あなたも辛い思いしてきたのね...」

「...うん」

「アタシも否定されて生きてきたからその気持ちすごい分かるわよ。」



「大丈夫」



その一言で気づけばボクは泣いていた。


肯定してくれる人がこんな近くに居たのだ。


「アタシはアナタの生き方いいと思うわよ。」


「...う...ん」


「アナタはアナタらしく居るべきなのよ。」


「ありがとう...」


「あ、まずいわ...そろそろ寝なくちゃ...今日学校行かなかったら怒られちゃうわ...」


「そっか...」


「アタシも誰かに認めて欲しかったの。話してくれてありがとうね。またあなたの家に遊びに行くわ。」


「うん...おやすみ。」


「おやすみなさい。」


電話が切れた。


トモ以外の誰かにちゃんと認められたのなんて初めてで


嬉しさのあまりボクは泣きじゃくっていた。


とりあえずしっかり寝て学校に行けるようにしなくちゃ。

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