“認めてよ”

外を見ると雨が止んでいて虹がかかっていた。


「トモ外見てみろよ。」

「わー!虹かかってるー!綺麗!」

「だな...」


さっきのツバサってやつ...どこかで見覚えがある。


「なぁトモ。」

「なぁに?」

「ツバサってやつとどこで出会った?」

「えー?すぐそこのコンビニで仲良くなったのー!」

「おい、知らない奴に声かけられたら返事はしちゃダメって前に教えたろ?」

「いや私が話しかけたの!」

「え。」

「なんかねー、ツバサが歩いてた時にね、可愛いハンカチ落としてたから私が拾ってあげたの!そしたら色々話して仲良くなったの!」

「へぇ...そうだったんだな。」

「うん!」


トモはツバサが男って気づいているのか...?


もし気づいていなくて万が一襲われたりでもしたら...


ツバサについて色々と詳しく知っといた方がトモの身のためだよな...


「お姉ちゃ...じゃなくて、ヒカリはツバサに興味ある?」

「え...?」

「私ね!すごい興味あるの!だって男の人なのに可愛いハンカチ持ってるってなかなかいないでしょ?だから私すごい気になるの!」


トモは気づいていた。


アイツが男だってこと。


声も少し高くて女の子と間違えるくらいの声の高さ。


そして華奢な体つき。


「なんで...男って分かった...?どこで気づいた?」

「えー、なんとなくかなぁ...どこか男を捨てきれてなかった...気がした?から。」

「なんで疑問形なんだよ。」

「えー分かんない。」


とりあえず今度会った時に色々聞き出そう...


「あ、今日って母さん達...帰ってくるっけ...」

「うん...帰ってくる」

「...嫌だなぁ」


ボクは母さん達が大っ嫌いだ。


何でもすぐに否定するからだ。


ボクが男物の服を着ていると、


「なんでそんなもの着るの!?アンタは女の子なのよ!?そんなもの着ちゃダメ!!」

「...」


母さんはそういうとボクのクローゼットを見に行った。


「ヒカリ!!」

「...何。」

「ここにある男物の服は全部捨てますからね!」

「え、やめてよ!せっかく買ったんだ!捨てないでよ...!」

「ダメです!ヒカリはもっと可愛い服を着なさい!」

「...」


ボクは母さんから服を奪い取り、部屋に駆け込んで鍵をかけた。


「ちょっと!!返しなさい!!その服は明日には絶対に全部捨てますからね!!!」

「...」


ボクは母さんを無視した。


父さんはこんな母さんを止めてくれない。


もちろんトモも止められるはずがない。


「うっ...うっ......」


ボクは声を殺しながら泣いた。


誰かボクを認めてよ。

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