僕と貴女の輪舞曲~純と花の再会~
桃丞優綰
第1話 A再開
A再会
回る回る貴女は回る
僕の周りを笑顔が回る
あまりに踊って回り疲れて
僕は貴方を立たせて消えた
ジュン:おっ、なんか今回五位以内いけそうだね
白ネコ:うん、皆のお陰でなんとかいけるかも
シューユ:とりあえず五分前まで様子見で、必要に応じて投入出来る人は投入で
ジュン:リョーカイ!!
白ネコ:了解!
白ネコ:私はあと三〇〇かな
ジュン:僕は五〇〇いけると思う!!
あっ、急にごめんなさい。実は今放置ゲームやってて。あのー、携帯のアプリのやつです。今、所謂チームメンバーとちょっと大会の方針についてチャットで話し合ってたんです。あっと因みに僕は輪島純って言います。さっきのチャットだとそのまま名前をカタカナにしたジュンです。
えっと、いきなりこんなチャット見せて何をどうしたいんだって思う方いらっしゃると思うんですけど、大会が終盤に近づいていたので気になっちゃって、すみません。あっ、でも全然関係ない話ではないんですよ。っていうのは、ちょっとこのゲームで悩み事がありまして。皆さんにもちょっと聞いて欲しいんです。
さあ、どこから話した方が良いでしょうかね。とりあえず、このゲームを始めたきっかけとゲーム概要を説明するところから始めますね。ちょっと前置き長いですが。えーと、きっかけか。……、すみません。だいぶ前から丁寧に行きますね。
僕は元々二つのゲーム(アプリ)にドハマりしてたんです。一つは野球ゲームで選手作成機能に特化したゲーム。そしてもう一つは僕の人生で度々流行ったトレーディングカードゲームの携帯版。両方とも無課金でも十分に遊べるゲームで、無課金・微課金主義の僕はこの二つゲームを堪能してたんです。
そこまでは良かったんです。そこまでは……。
その二つのゲームは二年ほど遊んだわけですが、そう、二年です。携帯を変える時期です。そうなんです。携帯を変える時に引き継ぎ設定を忘れてしまったんです。はぁ……。で、晴れて暇な時に携帯をいじらないとても目に優しい自分が出来ました。
しかし、です。元々ゲーム好きだった僕はどうしても手持無沙汰になるわけです。で、紆余曲折してこのゲームに辿り着いたわけです。いや、色々なゲームを試している時に毎回のように広告出てくるから、ちょっとやってみただけなんですよ。ちょっとね。
名前は「あなたの中国娘」
中国って入っているのがそこそこ効きましたかね。うち、母親が中華系の人なので、昔からカンフー映画とかよく観てたし。娘がどうこうってのはそんなに関係ないですよ。確かに彼女はしばらくいないけど、二次元には興味が無いというか、やっぱり触れ合えないとね。まあつまりはゲーム性が面白くなかったら続けるつもりは無かったわけですが、これが意外と面白いというか、なんというか。
一番気に入ったのは放置ゲームってところですかね。放置ゲームっていうのは、連続プレイ時間がせいぜい三十分で、何時間か空けてからログインして、その間に貯まった資源を回収して強くなるゲームの事です。前言ったように引継ぎに失敗したというのもあって、割とヘビーなゲームというか、ヘビーにやることに懲りたというか。そういう意欲がなくなったというか。ゲームばかりやるのもなって気持ちもあったので。
ジュン:このゲームにリア充はいるのだろうか
白ネコ:ジュンちゃんいきなりどうしたのww
ジュン:いや、仮にも中国娘を堪能する系のゲームでしょ、これ。だから
白ネコ:ああ、なーるww
シューユ:ジュンさんキャバクラ行く?
ジュン:うん?行かないけどどうして??
シューユ:いや、キャバクラ行くのと変わらないかなって
白ネコ:ん?どういうこと??
シューユ:仕事忙しくても、妻がいても行くでしょ?
ジュン:あっ、なーる!!
白ネコ:えっ?なになに?どういうこと??
ジュン:つまり、このゲームをやってるのを妻に知られたら!!
シューユ:怒られるってことだねww
白ネコ:えっ、そうなの??
システムの説明しますね。ゲームの目的みたいなものはたぶん特に無いです。強いて言うのならひたすら強くなってランキング戦で勝つことかな。タイトル通り中国娘をひたすら集めても良し。中国娘に対応する武将がいるんだけどこいつを強くするのも良し。基本的には強くなるイコール武将を強くすることだから、重要なのは武将だったりします。因みに何故か日本人も多数参加しております。一応、中国娘を集めると、それぞれの下着姿が見られるので、そういう遊び方もあるかと。
このゲームでは複数のプレイヤーが集まり過ぎてゲームの通信がパンクする(パンクするとプレイしにくくなる)を回避するためにたくさんのサーバーが用意されてるようです。何やら二百以上あるとか。結構人気のゲームみたいです。僕は七十くらいのサーバーで楽しんでます。
さて、ようやっとチャットの説明になりますね。
大きく分けてチャットは四種類あります。サーバー内、連盟内、サーバー間(ほとんど使わない)、個人です。一回で三十文字までしか打てません。表示の名前はゲーム内アイテムを使えばいつでも変えられます。さらっと出て来ましたが、連盟ってのはチームの事です。個人戦の大会も開かれますが、今みたいにチーム戦でも大会が開かれたりします。報酬がばかにならないので、チームには入った方が良いと思います。今は中国娘との親密度の上昇率を競ってます。
シューユ:なんかいけそうね。投入しよっか。
ジュン:リョーカイ!!
白ネコ:了解!!
白ネコ:三〇〇投入!
ジュン:五四〇投入したよ!
シューユ:八〇〇投入したよー
ジュン:すごっ(笑)
白ネコ:シューユさん頼もしい♪
シューユ:すっからかんだけどね
あっ、すみません。ラスト五分切ってたので。チャットって面白いんだけど、なかなかやらない人も多いのよね。僕はチーム戦好きだから大切にしてるけど。
ロビンビン:間に合った。ラスト一五二〇投入したよ
ジュン:やった、五位だ!!
白ネコ:ロビンちゃん最後すごっww
シューユ:やったね☆
ジュン:ロビンさんのお陰やわ。
白ネコ:みんなありがとー。ロビンちゃんもシューユさんもいっぱい
白ネコ:いっぱいありがとねー
ロビンビン:役に立って良かったよ
ロビンさんはいつも会話に参加してるけど、今日は仕事で忙しかったみたい。
さて、さてさてさて。ようやく本題に入ることが出来ますね。実はこの連盟チャットで気になる名前を見てから、僕に悩みが出て来まして。皆さんにご意見して欲しいんです。いや、僕としてはそんなことあるはずないと思うんだけど。だけど……。一応というか、念のためというか、まあとりあえず問題のチャット見てもらいますか。
月英:花はねー、結構効率的なプレイする方だよ。
白ネコ:まあ、花さんはそんな気がする
ふと、いつものようにログインして資源集めて連盟チャット覗いたら、連盟メンバーの白ネコちゃんと月英さんがこんな話してたんです。
ジュン:花さん?そんな人いたっけ?
どうやら花さんって人の話してるんだけど、うちの連盟にそんな人いた覚えが無いので聞いてみました。
白ネコ:ジュンちゃんこんちゃ
月英:ジュンちゃんこんにちは
ジュン:あっ、こんにちは
白ネコ:花さんは月英さんの事だよー
ジュン:えっ、どういう事?
月英:このアカウントはサブなので
ジュン:あっ、なる
さてはてこれが僕が議題に挙げている会話です。
一応しっかり説明すると、このゲームは一人で複数のアカウント、つまり名刺を持つことが出来るらしいのです(僕はこの時初めて知りました)。
つまり、月英さんにとって連盟間競争で五位に入るうちのチームは所詮サブでやるもので、だから作戦会議にも上昇率貢献にもあまり積極的ではなくて、こういうフリーのチャットにしか出現しなくって。ってどんだけガチなんだよ。っていう事をグチグチと言いたいわけではなく、問題なのは月英という名前と花という名前が一人に集約されていることなんです。
えっ、何がダメなんのって思うかもしれませんが、別にダメじゃないんです。ダメじゃないんですけど……。もちろん月英なんて歴史上の人物ですし、花って名前だってありふれているんですけど、単体単体じゃなくて、それが一緒ってのがね……。
つまりですね。解説すると僕の前付き合っていた彼女が花と言って、彼女との間での僕の二つ名は孔明で、彼女は月英で……。それが悩みなんです。
いや、偶然だろって。まあ僕もそう思ってはいますけど……。ならいいじゃんって、いやほら偶然じゃない可能性もあるわけで……。
いや、違うんです。違うんですってば……。
すみません。混乱しちゃって。いや、この話を聞いてもらえばわかると思います。
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