第5話ラブコメに良くある展開

桜井さんと合トレ(合同トレーニング)をした晩、ベットであとは寝るだけとなった俺はスマホを見て考え込んでいた。いつもならスマホなど見ずにすぐ寝るのだが今日は違った。


「えっと『明日放課後お茶しませんか?』だって?」


俺が今見ているのはメッセージアプリであるLI○Nである。今日の別れ際、桜井さんと連絡先を交換したのだが早速それを活用してメッセージが来ていた。内容は『明日放課後お茶しませんか?』だ。


「いつもなら即、断るところだが謝りたいこともあるしな」


学校で謝れば良いかと思うかもしれないが桜井さんは筋肉フェチだが学園のアイドルなのだ。確実に噂されるし、他の男ども、特にかけるの反応が怖い。


「やっぱり補助でセクハラまがいのことをしてしまったのは謝らなきゃだしな」


やってしまったあとすぐに謝りはしたのが軽くだ。できればちゃんと謝りたい。訴えられたくないし。だがその後すぐにトレーニングを再開したため、自然とタイミングを逸してしまったのだ。意識すればする程謝れないってことあるよね。


「よし!決めた。明日だけ付き合おう」


俺も1週間に一回は筋トレOFFの日がある。普段は日曜日なのだが明日でも問題ない。そう決めてすぐにスマホを消し寝ることにした。




次の日いつも通り学校に到着し、席に着くと桜井さんが近づいてきた。そしてその様子をジロジロと見るクラスメイトたち。


「おはようございます。佐々木君」

「おはよう」


俺の席の横で止まった桜井さんは微笑みながら語りかけてくる。可愛い。


「えっと。どうした?何か用か?」

「その、昨日のLI○Nの返事なんですけど…」


あ、やべ。自分の中で答えを出して満足したのだが返信するのを忘れてた。ここはカフェに誘われたっていう内容を悟られないように承諾の意思を伝えなければ。そうしなければ確実に面倒くさいことになる。前の席からこちらを睨んでいるかけるを見るに間違いない。願わくは桜井さんもそのことに気付いてくれているといいのだが…。


「あー返事ね。もちろん大丈夫だよ」

「本当ですか!?じゃあ放課後お願いしますね。カフェに男の子と行くのなんて初めてなので楽しみです!」

「お、おう」

「じゃあまたあとで!」


そう言って席に戻って行く桜井さん。どうやら俺の願いは儚く散ったらしい。恐る恐る周りを見渡してみると…。


『え、いまカフェって』

『桜井さんが!?』

『それって要はデートじゃ…』

『うおー!俺は信じないぞ!』

『今まで男のかげなんてこれっぽちもなかったのに!』

『なんであんな筋肉馬鹿を…』

『桜井さん完璧超人だけど趣味だけは悪いんだ…』

『許さねえ』

『許さねえ』

『許さねえ』


そして前を見ると…。


「太郎。どういうことだよ!?お前女には興味ありませんって感じだったじゃないか!そうか。そういうことなのか!俺には桜井さんがいるから興味ないってことなのか!許さねえ」

「お、落ち着けよ。まぁ説明するから」


詰め寄ってくるかけるを宥めるのに結局一日かかってしまったがなんとか納得してもらった。桜井さんとたまたまジムで会ったってことになっている。もちろん彼女が筋肉フェチなのは秘密だ。他のクラスメイトについてもいずれは誤解が解けるだろう。


そして放課後、2人で彼女が良く行っているというカフェに向かう。そういえば彼女はなぜ俺をカフェに誘ったのだろうか?


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