第18話 守ってほしい心
クロック。
俺達とはそれなりの仲のクラスメイトの女の子だった。
3人はそれぞれ組も年齢も違ったけど、だ。
だけどクロックの突然の引っ越しなどが理由などで.....そして.....。
いーちゃんが何処かに行った事もあって.....いつしか。
俺達はバラバラになってしまった。
絆は永遠とは言わなかったのだ。
だけどクロックらしかった。
相変わらず壁も無く俺達に関わってくる。
俺はその姿に溜息混じりだったが。
それでも壁の無い関わりに俺達は安心感を得る。
クロックはゲームなどの紹介をしながら俺達に笑顔を見せる。
「それにしても.....いーちゃんが女の子だったって凄いね!私は.....ずっと男の子だって思ってた」
「クロックは元から女の子らしくなかったけど.....でも女の子らしかったよね」
「そうだな。確かにね」
「あ、そう?えへへ」
そして恥ずかしがるクロック。
その姿を見ながら俺は苦笑いを浮かべていると。
クロックが、あ。いーちゃん。ちょっとお願いがあるんだけど、と言った。
それから手を合わせる。
「ちょっと席を外してくれない?」
「.....え?.....良いけど.....どうしたの?」
「うーん。ちょっとお話かな。鳩ちんと」
「.....うん。大切な話なんだね。じゃあ席を外すよ」
それから席を外す様にして奥に向かういーちゃん。
俺はその姿を見ながらクロックに向く。
クロックは少しだけ複雑な顔をする。
そしてこの様に言葉を発した。
「鳩ちん。.....あの子。.....いーちゃんだけどさ」
「.....?.....ああ」
「.....思った以上に傷付いているんだ。それも相当に深くね。.....多分今も暴力に支配されていると思うんだ」
「.....!.....何故それを?」
「.....私は.....数年前だけどいーちゃんの親にあった事がある。.....一応.....仕事ぐるみの付き合いで何回か。でも良い人じゃないよ。あれは。何処かから借金を平然とする様な.....クズだった。だから傷付いているんだよ。今もずっと」
クロックは俺を見ながら、だからお願いがあるんだ、と向いてくる。
俺は?を浮かべながら複雑な顔でクロックを見る。
クロックは、いーちゃんを大切にしてあげて。そして.....良かったらいーちゃんと付き合ってくれない.....かな、と言ってくる。
俺はビックリしながら見つめる。
「.....当時は男の子同士だと思ったから変だと思ったけど。.....でも今は違う。.....いーちゃんを守ってほしい。.....大切な友人として」
「クロック.....君は.....」
「私は.....いーちゃんに幸せになってほしいから。.....君なら.....任せられる。.....守ってくれるって信じているから」
「.....」
でもこれは強制じゃない。
私は.....君の事も知っているから、とクロックは全てを見据えた様に見てくる。
俺は衝撃を受けてから見つめる。
すると、何故?って感じだよね、と聞いてくる。
俺は頷いた。
「.....山根大吾君って知っているかな。.....彼とも付き合いがあるの。私。.....それで.....君の事を聞いたんだ。ゴメンね勝手な事をして」
「.....アイツ。.....口滑りだ.....な全く」
「私は君の事が本当に心配だからね。.....だから聞いちゃったんだよ。ゴメンね」
「.....クロック。有難いけど.....君が心配する必要は無いんだよ?.....でも有難いけど」
「.....本気で心配だからね。.....でも予想外だったけど本当にこんな事になって良かった。.....女子と男子なら付き合っても.....違和感が無いと思うしね」
だから、と切り出すクロック。
そして俺を複雑に見てくる。
だけどその中でも、私は君に無理はしてほしくない。だけど.....守ってほしい、と.....そのまま笑顔を浮かべるクロック。
相変わらずだな.....クロックは.....。
何も変わってない。
「.....クロック」
「.....うん」
「.....俺な。.....お前に出会って良かったと思ってるよ。本当に有難うね」
「.....私は.....君達を陰ながらでも支えたいって思っていたから。.....でも何も出来なかったけどね。.....ゴメンね」
「.....謝ってばかりだな。君らしくないよ。クロック」
俺は言いながらクロックの頭を撫でてしまった。
こんな事をしたら駄目だとは思ったが.....だ。
その事にクロックは俺に対してはにかんだ。
それから、えっとね。お話はそれだけだよ、と笑顔を浮かべる。
「呼んで来ようかな。いーちゃんを」
「クロック」
「.....何?」
「俺は守るよ。.....いーちゃんを。幸せにしてみせる」
「.....君ならそう言ってくれると思ったから答えを待たなかったよ。鳩ちん。.....いーちゃんも聞いていたみたいだし」
驚きながら背後を見ると。
隠れながら聞いていたかの様な赤面をしながらいーちゃんが出て来た。
いーちゃんは真っ赤になっていた。
そして俺を見ている。
「.....もー。向こう行ってって言ったのに。いーちゃん」
「.....だって.....その。気になったから.....やっぱり」
「.....」
真っ赤になりながらいーちゃんはモジモジしながら俺を見てくる。
俺はそんないーちゃんに少しだけ赤くなりながらも意を決して向く。
そして、いーちゃん聞いていたんだね、と笑みを浮かべた。
クロックは全てを予言していたかの様な感じで肩を竦めてから苦笑する。
その中でいーちゃんは再び赤くなりつつな感じで俺を見た。
「.....有難う。はっちゃん。.....君なら.....君なら。.....有難う」
その言葉を話してから。
いーちゃんは満面の笑顔を浮かべた。
そしてゲームソフトを見せてくる。
懐かしい.....俺達が一緒に遊んだ頃のゲームソフトを。
それからゲームを、だ。
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