第161話 一掃!


《聖者の遺灰》

レア度 ★エピック

説明 死者を無に還すことのできるアイテム。

   アンデット特攻+500%


「これなら勝てる……!」


 ゾンビ軍団にこれをぶつければ、復活させないで葬り去ることができるだろう。

 だが、このアイテムはせいぜい10回も使えばなくなってしまう。

 またこのアイテムを落とすやつを見つけて、何度もそいつを倒すのか……?

 いや、それは面倒だ……。


「よし……!」


 俺は作戦を考え、ゾンビの復活を待った。

 そして十分にゾンビたちが復活してきたころを見計らって。


運試しの賽子ファンブルギャンブル――!!!!」


 まずは運試しの賽子ファンブルギャンブルで自分にバフをかける。

 俺の攻撃力を6×6×6倍に!

 それから、魔法の威力を上げるスキルもかけておこう。


魔力増幅メガ・マナ――!!!!」


 これによって、俺の次に使うスキル、魔法は通常の100倍の範囲まで拡大できる。

 最後にこれが切り札だ!


極小黒球グラビトンエクス――!!!!」


 極小黒球グラビトンでゾンビたちを一か所に集める!

 ものすごい吸引力の魔力渦を発生させ、ゾンビたちを吸い込んだ!

 もはや原型をとどめないほどにゾンビを圧縮!

 5万のゾンビがわけのわからない肉の塊となったところに、俺は例のアイテムをぶち込んだ。


「聖者の遺灰――使用!!!!」


 上空から、極小黒球グラビトンで集めたゾンビめがけてアイテムをぶちまける!

 それだけでなく、ダメ押しの一手だ――。


闇の右手ダークネス――!!!!」


 唱えると、上空に悪魔の右手が召喚される。

 そして、俺は聖者の遺灰ごと、ゾンビ玉を握りつぶした。


 ――ブチ!

 ――プシャァ!!!!


「よっしゃぁああああああ!!!!」


 すりつぶしたゾンビたちは、そのまま二度と立ち上がってはこなかった。

 その場に、大量のドロップアイテムが一か所に落ちる。


「これもあとで極小黒球グラビトンでまとめて、いっぺんにアイテムボックス行きだな」


 ユーラゴビス軍の兵士たち、彼らは意思に反してゾンビ化させられ、戦いを強いられた。

 そのことに俺は心をいためながら、なんとか怒りをかみ殺す。

 とりあえずその場に、レアアイテムの聖剣をぶっ刺して、手を合わせておいた。

 彼らの魂を侮辱した、敵軍の将を、俺は絶対に許せない。


「待ってろよ……すぐに行く……!」





【三人称視点】



 ゾンビ軍を退けたロインをみていたジェスタークは、こぶしをにぎり、わなわなと震えていた。


「ぐぬぬ……なぜ、なぜ私の完璧な策略があああああああああ! そんなのアリかよ!? レアアイテム現地調達だと……!?!!?! くそ! すべてが狂った!!!!」

「ジェスタークよ……だ、大丈夫なのか……!?」


 不安に思ったユィン王が、ジェスタークに尋ねる。

 だが、そこにいつもの優しく冷静なジェスタークはいなかった。

 そこにいたのは、我を忘れ、なりふりかまわなくなった魔族がいた。


「これが大丈夫なわけなかろうがッ!!!!」


 ――どちゅ。


「…………あ………………」


 ジェスタークは怒りにまかせ、ユィン王の首をはねた。


「ふぅ……ふぅ……くそ、人間とはなんと脆い。まあ、やってしまったのは仕方がない。もはやユィン王は用済みだったしな……。よし、こうなれば、私が直接ロインを……! 討つ……!」


 ジェスタークは戦いの準備を始めるのだった――。

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