第149話 鑑定師を探せ
《ドロシーの手鏡》
レア度 ★×?
ドロップ率 ???
説明 ドロシーという少女が生前に使っていた手鏡
ドロシーの鏡を俺がいくら眺めてみても、表示されるのはその情報のみだった。
最初にドロシーと出会ったときと、まったく同じ説明のままだ。
通常の鑑定には、特別な技術などは必要がない。
ただアイテムに目を凝らせば、自然と情報が浮かび上がってくる。
この世界に住む誰もが、生まれながらにして持っている能力だ。
「うーん……」
俺が手鏡とにらめっこしていると、ネファレムが話しかけてきた。
「ロイン、もしかしたら……この手鏡の正体を知る方法があるかもしれない」
「本当か……!?」
「昔、一度だけあったことがある。上級鑑定師に……!」
「上級鑑定師……?」
ネファレムの話では、過去にそういう職業があったそうなのだ。
彼らは上級鑑定という特殊なスキルをもっていて、どんなものでもさらに詳しく調べることができるという。
「だけど……そんな話聞いたこともないなあ」
「まあ、今この世界に上級鑑定師が何人いるのかさえも不明だ……」
「でも、一応探してみる価値はありそうだな」
その上級鑑定を使えば、もしかしたらこの手鏡の正体がわかるかもしれない。
魔鏡デモンズペインというほどのものだから、誰かが過去にカモフラージュ魔法をかけて、それとわからなくしているのかもしれないしな。
鑑定以外にも、除霊師や付与術師なんかも探してみるといいかもしれない。
とにかく、打てる手は全部打とう。
「というかなんでネファレムはその上級鑑定師と会ったことがあるんだ?」
「ああ、昔、先代勇者と冒険をしていたころに、一度な。先代勇者の手にいれたレアアイテムが、少し不思議なものだったんだ」
「不思議なもの……?」
「確かにそれはレアアイテムだったんだが、性能が明らかにレアアイテムのものじゃなかった」
ネファレムが言うには、その《さびれた剣》というアイテムは、攻撃力+5しかない、明らかな雑魚武器だったのだそうだ。
それで不思議に思って、上級鑑定師に見せてみると、なんと――。
《さびれた剣》の正体が《聖剣ズァンダーク》だということがわかったのだそうだ。
「ほう……確かにそれはすごいな。ってことは……俺も今までに手に入れたレアアイテムが、ほんとうはもっとすごいアイテムだって可能性があるのか……!?」
「まあ、ないとはいいきれないな」
「そっか……! それはますます鑑定士に期待だな!」
「まあ、いるかどうかもわからないけどな……」
俺は心のなかで今までにないわくわくを感じていた。
その上級鑑定さえあれば、既存のレアアイテムのさらなる真価を知れるかもしれないのだ。
そうなれば、今まで集めた大量のレアアイテムが、さらなる価値を生む。
まさに可能性は無限大じゃないか……!
いくつか、心当たりもある。
レアアイテムとして手に入れたものの、そのレア度に見合ってないクズアイテムや……。
そもそも使い方がわからないようなアイテムも、いくつか倉庫に眠っている。
俺はなんとしても、その上級鑑定を手に入れたいと思った。
「なあ、その昔会った鑑定師の居場所わからないか? そいつの墓さえわかれば、世界樹の霊薬と時戻しの杖を使ってなんとか生き返らせれないかな?」
「無理を言うな……。さすがに500年前の人間だぞ……。つい一年以内に死んだ勇者パーティを蘇生するのとはわけがちがう」
「だよな……くそ……」
鑑定師が見つからないとなれば……もうスキルそのものを得るしかない。
ん……? 待てよ……? スキルそのもの……?
「あ……! もしかしたら……!」
「どうしたんだロイン」
「ちょっと出かけてくる……!」
「あ、おい……! 夕飯までには帰るんだぞー! サリナさんが今日は御馳走を作ると言っていたからなー」
「わかったー!」
俺はまるで遊びに出かける子供のように、そのまま城を飛び出した。
いく先は、もちろん――。
◇
俺は単身、死の火山を訪れた。
せっかくだから、クラリスかカナンでも連れてくればよかったか?
まあ、いいか……。
とりあえず俺一人で一度試してみよう。
みんなにはいつも働かせすぎだし、休んでてもらいたいからな。
城には勇者パーティたちも増えて、今はにぎやかだ。
交流を深める時間も必要だろうしな。
「さぁて、俺はなつかしのスキル堀りだ……! スキルメイジちゃんたち、どこだあああああ!?」
俺はいつぞやの死の火山初攻略のときのように、スキルメイジを探しまくった。
そして、みつけるとすぐさま倒して、スキルブックをゲットしていく。
狙いはもちろん、【上級鑑定の書】だ。
そんなものが都合よく手に入るとは思えないが、なんどもやっていればそのうち手に入るだろう。
俺はそういうところ、変に楽観的なのかもしれない。
だって、俺は誰よりも運がいいから――!
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