第8話 武器屋


 俺はデモンズ鉱石×44個を持って、武器屋に来ていた。


「よいしょっと……なあ、この鉱石素材で、なにか武器を造れないか……?」


 俺がカウンターに鉱石を置くと、武器屋の親父は目を丸くして驚いた。


「おいおいこいつはどういうことだ……!? 伝説の鉱石がこんなに大量に……!?」

「そんなに貴重なものなのか……?」


「あたりまえだバカ! 今注目の新素材だぞ! どこで手に入れた!?」

「いや……まあちょっとな」


「そりゃそうか……教えられるわけねえよな……まあいい! で、こいつを全部使っていいのかい?」

「ああ、頼めるか……?」


 もしかしたら、こんな変な素材扱えないと言われるかと思ったが……。

 もしくは盗んできたのだとか言われたらどうしようと思っていた。

 だがそれらはすべて杞憂だったようだ。


「俺も職人としての腕がなるぜ! 待ってな、数週間でとびっきりの武器を仕上げてやるから!」

「ああ! ありがとう!」


「あんたすごいな……! どうやってこんな……! いや、いい……! 聞かないでおくよ」

「はは……そうしてくれると助かる」


 とにかく、武器屋の親父が話のわかる人物でよかった。

 俺は前金を払い、素材を武器屋に預けた。


 完成には数週間かかるそうだから、俺はその間遊んでおくことにしよう。

 ちょうど街も見て見たかったし、なにせ金は使いきれないほどある。





 そして、約束の日がやってきた。

 俺は楽しみにしながら、武器屋に行った。


「どうも……頼んでいた武器を取りに来た」

「ああ、あんたか。ちょうどできてるぜ! 最強の武器が出来上がった……!」

「おお……! こ、これは……!」


 出来上がった武器は、なんとも異質な形をしていた。

 デモンズ鉱石は高度の高いかわりに、加工がしにくいと聞く。

 なので、それを丸ごと武器に使うとなると、どうしてもこういう形状になるそうだ。


 それはまるで大きな長方形の板だった。

 黒紫色の大きな一枚板。


「これは……こんなので戦えるのか……?」

「まあ、実際に使ってみな!」

「えい……!」


 俺は武器屋に併設された試し切りエリアで素振りをさせてもらう。


 ――スパーン!


「おお! これはすごい!」


 思ったよりも、武器は軽かった。

 そうか……! これがデモンズ鉱石が新素材と言われる由来か。

 抜群の切れ味と攻撃力なのに、めちゃくちゃ軽い!


「これなら大型モンスターとも戦えるぞ……!」


 俺は新たなる戦いに胸躍らせる。


「それで……この武器はなんて名前にする?」

「名前……?」


「ああ、こんな贅沢な武器を作ってしまったのは世界中でアンタだけだからな。まだこの武器には名前がない。アンタが自由につけるといい」


 なるほど、確かにデモンズ鉱石44個なんて、俺じゃなきゃ集められないだろうな。

 って言うことは……これは世界に一つだけのユニーク武器ということか。

 もしデモンズ鉱石が広く流通することになれば話は別だが。

 今のところ、これは世界に一本だということだ。


「そうだな……名前か……考えたこともなかったな」


 悩んだ末に、俺はこう名付けた。


「デモンズブレードだ……!」

「はっは……! そのまんまじゃねえか!」


「いいだろ別に……シンプルなのがいいんだよ」

「まあ、あんたらしいな」


 俺はたんまりと金を払って、武器屋を出た。

 それにしても、この物珍しい武器は目立つな……。

 道行く人が俺に振り替える。


「これはグフトックに見つかるのも時間の問題だぞ……」


 俺は兜をすこし深めにかぶる。

 面倒事はもうごめんだ。

 できればこれ以上、目立ちたくはないんだがな……。



――――――――――――

《デモンズブレード》

レア度 ★★★★★★★★

ドロップ率 0%

攻撃力 450

――――――――――――

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