第207話 戦いの基本
「さっきも言ったな、『働かざる者食うべからず』と。ホラ、行くぞ」
転移者である織田Qと小田ちゃん、ついでにロリ豚クソ野郎を連れてダンジョン攻略にやってきた。
とりあえず、レベルを上げないことには始まらない。
弱肉強食。持たざる者には選択の権利はない。
この世界でも力無き者はただ、食い物にされる。
そして、弱者は簡単に死ぬ。
「とにかく、お前達に足りないのは力だ。"力が一番、力があれば何でもできる"と偉い人は言った」
「そんな事は言ってませんよ」
「ここ、どんな感じのダンジョンなんです?」
「せ、拙者、ちょっと暗い所は苦手でして……」
三人のとも、不安そうな顔ではあるが一応やる気はあるようだ。多分。
「迷わず行けよ!行けば分かるはず!多分」
「いやいや、ブラ珍さん。どんな小さなダンジョンでも、対策と準備を万全にして挑むものでしょう。少なくとも僕達はそう教わってますよ?」
事前情報では、雑魚しか出ない不人気ダンジョンの一つとしか分かっていない。
「小賢しい。そんなこたぁ、どうでもいいんだよ」
「行くぞ」と、三人を半ば引きずるようにダンジョンへと踏みだした。
「こ、これはもう!虐待ですぞーーっ!じ、人権侵害には断固反対いたしますぞー!」
五匹程のゴブリンを発見したので、図体に似合わずおっかなビックリ歩くロリ豚にイラッとしたので、蹴り飛ばして強制エンカウントさせてやった。
ゴロゴロと転がって群へと突っ込んだロリ豚は、ゴブリンに群がられながら叫び声を上げている。
「豚に人権はねーよ。喋ってないでとっととヤレ」
ロリ豚オーク対ゴブリン五匹の泥試合である。
一応、自前の装備を身につけているので多少の事では死にはしないだろう。
ゴブリンは木の棍棒でロリ豚オークをタコ殴りしている。
「お前ら、本当に今まで何やってきた?」
想像してたよりも貧弱な連中にため息が漏れる。
織田Qは多少剣を使えてはいるが、それでもコッチの世界の一般的な兵士レベルである。
小田ちゃんは支援職なのでしょうがない。
小田ちゃんは、俺とコマンドの設定でパーティを組んでるので、俺が魔物を倒して得た経験値の三割が入る仕組みになっている。
他の二人からもパーティ申請がきたが、もちろん拒否してやった。
ロリ豚クソ野郎は戦闘支援職という事らしいが、戦闘の"せ"の字も知らないど素人だ。
自己申告の通り、デブの割には多少は動ける。しかし所詮、豚は豚だ。
血だらけで戻ってきたロリ豚は、血と汗と変な液体でドロドロだ。
「マジで汚い奴だな」
そのまま近寄られるのも嫌なので、生活魔法の“高圧洗浄”で汚れを洗い流してやる。
「アババババババッ!ちょ、ひ、酷いですぞ!」
顔面にも容赦なく高圧ジェット水流を当てると非難めいた声を上げるロリ豚であった。
「お前ら基本がなってねぇよ。『戦いはパワーだよ兄貴!』って中将も言ってただろ?」
「言ってませんよ。『戦いは金だよ兄貴!』でしょう?」
「数ですぞ!戦いは数ですぞ!だから、ここは一つ、仲間と力を合わせて戦う事を進言しますぞ!」
やれやれ、コイツらは分かってない。
一つ手本を見せてやらねばなるまいて。
オークとゴブリンの混成チームを見つけ、俺が本当の戦い方というものを見せてやる事にした。
「よく見ておくように」
これくらいの敵には魔法もスキルも必要ない。
ダッシュで接敵すると、ゴブリンの頭を殴って爆散させる。怯む魔物に容赦はしない。
「パワーッ!」二匹のゴブリンの顔面を両手で掴み上げると、地面に叩きつけて潰す。
「パゥワーーッ!」オークの腹に正拳突き打ちこんだ腕が貫通する。
「パワフゥーーッ!」オークの死体を投げつけてゴブリン三匹を壁の染みにする。
「パパパパ、パワーーーー!」ゴブ、ゴブ、オーク、ゴブ、オークの順番に打突と蹴りの連撃で文字通り粉砕、逃げ出したオークを背後から捕まえるとバックドロップで地面に突き刺してやった。
「Poweeeeeeer!アッ!アッ!」
勝利の雄叫びを上げる。
レベルが上がって、恍惚の表情を浮かべる小田ちゃんがエロい!
「見たか?力が全ての基本だ。『まほうつかい』でもこれくらいはできるようになる。さあ、やってみろ」
「「できるか!」」
織田Qとロリ豚の息が合ったツッコミを他所に、小田ちゃんは「こうかな?アレ?こう?」と、バックドロップのイメトレをしていた。
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