第169話 『まほうつかい』とは?決戦とは?
「システムオールグリーン!w ブラックホーク!いっきまぁーーっす!!www」
何だコレ!無駄に楽しい!
俺はテンプレが好きだ。
控え目に言っても、好き好きすーだ。
しかし異世界転移してこのかた、いまだまともなテンプレを堪能していない。
いや、多少はね?多少は楽しんだよ?でも、ちょっと違うんだよなぁ。
これでも異世界転移のテンプレを踏襲すべく努力したのだが……。
正統派主人公と呼ぶには、いささかおかしな方向に偏っているように思える。
分かってる。
全ての元凶は俺の職業『まほうつかい』がよろしくないのだと。
けして俺のせいじゃないのだと。
「俺は一体、どこに向かっているんだ?」
目の前のウィンドウを見つめて溜息を一つ。
「確かにカッコイイけどな……」
『まほうつかい』とかじゃなければの話しだが。
職業:
[職業進化を確認しました。レベルキャップを解放します。次の上限は50です]
まてまて運営さんよ。段々と人外じみてきてないかい?
人外じみた強さの主人公が出てくる作品は幾つもある。
その異世界で手に入れた、並外れた力を持ってして"人外"と呼ばれる主人公達に皆憧れるのだ。
FA。確かに強そうだし、カッコイイ。それは認めよう。
しかし、"決戦仕様"ってコレ、人の職業についてる事ってある?メカだよね?
そんな人外成分、求めてなかったんですが。
もっと言えば、一体何と決戦するんでしょうかね?
[走・攻・守に優れたフルアーマメント。増設されたハードポイントにより、遠・中・近、隙なく火力を発揮します。正に、決戦仕様!]
珍しく、というか、初めてそんな説明付きでの職業進化だった。
水神の祠からコタロウと二人で村に戻って来た俺は、使徒の威光を見せつけてやろうと、北の村で助けてやった神父やシスター、村長や水神の巫女、合同ギルドの文官所長以下手の空いてる協商の連中を見物人にして職業進化のお披露目会を開いた。
基本、娯楽に飢えたど田舎の村であるので、こういうイベントには村人達までワラワラと集まってくる。
運営イベントを攻略し、ついに可能となった職業進化Ⅲは100万Pだ。
これだけ頑張って条件を達成し必要Pは100万の大台に乗った。否が応にも期待してしまうというもの。
「使徒であるこの私が、
巨大かつ目が眩むほどの光の輪が三つ、俺に向かって収束していく。
「「「オオオォォォッ!」」」
「は、ハへェェェッ……見事もんじゃな」
ど田舎の村人の反応も上々である。
「……こ、これが神の御業か……」
「なんと、神聖な光じゃ……」
神聖なモノに親和性の高い者ほど感激しているようだったが、光りが落ち着いたら途端に興味を失った奴等もいた。
文官所長とコタロウだ。
文官所長は眼鏡をクイッとすると、「では、私は色々と忙しいのでこれで失礼します」と、とっとと村長宅へと戻り、コタロウに至っては「すっごい光ってたね、おじさん!僕、お腹空いたから食堂に行って来るね!」と、眷属のくせに主人を置いて飯を食いに行くと言う。
俺の一大イベントへの興味なさっぷりがすごい。
もうちょっと色々持ち上げてくれてもいいのに。
他の者も「えっ?コレだけの為に呼ばれたの?」的なヤツもいたが、最強傭兵コンビを半殺しにぶちのめした俺に気を使って、その場に留まってソワソワしている。
帰りたいんか?
「以上で終了とする。散れ!下民共!」
居た堪れない空気に半ばキレ気味にそう言った。
神父と巫女の婆さんはいまだに祈ってるが、シスターは俺を訝し気に見てるだけだ。
もしかしたらこのシスター、神職ではなく、本当はただのビッチなのかもしれん。
それか、ゴロツキ傭兵に襲われてお漏らししたシスターを俺がいやらしい目で見てたのがバレてたかだ。
それは、ちょっとだけ恥ずかしいな。
そんな事より職業進化した結果の確認をしなければならない。
———————————
ブラックホーク・珍太郎
レベル:40→46
職業:FA まほうつかい 決戦仕様
力:129→153
魔:38→42
体:99→117
速:94→112
技:85→100
魔法・スキル
魔力反応装甲Ⅰnew!、ハードポイントⅠnew!、射撃統制システムⅡ(統合)new!バレット改Ⅳup!、装弾数増加Ⅰnew!、近接戦闘Ⅲ(統合)new!、生活魔法改Ⅲup!、身体強化Ⅲ、初級地魔術、隠密Ⅲ、察知Ⅲ、魔力操作Ⅲ、魔力感知Ⅲ
称号
異世界人、使徒、魔弾の射手(※魔弾の威力小UP・消費魔力低下・精密誘導射撃可能)、粛正者(※神敵特効)、マーダー(※対人戦闘における攻撃力微増)、ゲリラコマンドnew!(※敵対組織に対し少数で攻撃を仕掛けると取得経験値微増)、サハギンの天敵
—————————
[
[ハードポイントの設定は現在両肩に設定済みです]
なるほど……
そこはかとなくアップデートされた感はあるけどもだ……
とりあえず新スキル(新型)の性能を試すべく、浜から湖に向かった。
「ブラックホーク!w いっきまぁーーっす!!www」
背中部分からのメインスラスターで一気に加速。
肩の横と腰部のバーニアで軌道修正や方向転換、脚部バーニアで浮力を確保してる。
因みに各部の噴出口には魔法陣が展開されてある。
残念ながら長時間の飛行を可能にするほどの推進力はないが、ジャンプからの短時間であれは滞空状態を維持可能である。
俺、そのうち飛べるようになるかもね。
ハードポイントⅠを起動。両肩の上辺りに魔法陣が展開し魔弾を発射可能となる。
両手からだけだった火線の増加は単純に瞬間火力が倍になった。
射撃統制システムとかいう、人ならざるスキルによって射撃の最適化まで可能となった俺は、正に人外。
ざっと試してみて思った。
俺もうM Sでいいんじゃね?と。
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