第167話 ショタ○ンコ ※ニッチなサービス回

「お前の部屋が無事か否かは、お前の働き加減によって決まる。せいぜい頑張れ」




入り口を解放した祠に入ると、まぁよくもここまで汚くできたもんだと感心してしまう。


「ちょっと!勝手に人ん家に土足で入ってきて、タバコなんか吸ってんじゃないわよぉぉぉ!」


「臭くてタバコの煙でもないと我慢できん。空気清浄機買えよ。一番デカいやつ」


「アレ、高いのよ……てか、そんなに嫌なら入ってくんなよ!おいぃぃぃっ!てか、誰が入っていいって言ったよコラァァァ!!」


「お前は客のもてなしもできんのか。コタロウ、今、天井に穴開けてやるからちょっと待ってろ」


「ヤメロ!本気でヤメロ!アンタ普通にやりそうだから怖いわ!」


「風通し良くなるぞ?少しはマシになるだろう?感謝しろよ?」


「扉だけで十分風通しイイわ!……もう、やだコイツ……」


涙目の水神は項垂れて、いつ洗濯したのか分からないような衣類が山積するベッドにうずくまった。


「何、被害者面してんだカス。お前が仕事しないせいで村から避難した人間がいるんだぞ?守り神のクセにタダ飯食いやがって。俺にどうにかしろって依頼がきたくらいだ。運営も流石に我慢できんかったんだろうな」


「うっ!」

俺のPは完全歩合制だが、コイツは湖の守護として固定給与制らしい。

しかも、結構貰ってるっぽい。


「これからもココで生活を続けたかったら、仕事しろ。手始めにサハギンの残党を残らずかき集めてこい」


「え、えぇぇっ!何その面倒な仕事……」


「集めたら俺達が駆除する。1匹でも逃したら天井どころか壁も穴だらけにしてやるからな」


「ァィェェェ……」


水神は、ダルそうに湖まで行くと怪しい呪文らしき言葉を呟き、魔力を湖に垂れ流しはじめた。


「おじさん、水神様大丈夫かな?何か、ウンコ我慢してるみたい……」

コタロウがコソコソと俺に話しかけてきたと思ったら、これだ。


お前、優しい過ぎるだろう!


全力で魔力を放出しているだろう水神がイキんで震える様子を心配しているらしい。


「大丈夫。別にウンコ我慢してるワケじゃないと思うから」


「そうなの?僕もウンコしたくなったらあんな感じになるから、てっきりウンコ我慢してるのかと思っちゃった」


「ウンコ」を連発するコタロウと俺の会話が聞こえたのか、水神の肩の震えはいやます一方だ。


「ウン・コロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ……」


「やっぱりウンコみたいだよ?おじさん!」


「そうかぁ、やっぱウンコかぁ。アイツ、ウンコっぽいし、ばっちぃからアッチ行ってようぜ」


「……エェェェイッ!!はぁはぁ……、誰がウンコじゃアンタら!人が真面目に……う、うぇぇ、気持ちわるっ……、オキョーよオキョー!それっぽく見えるでしょうが!」


魔力欠乏でフラフラのクセにテンション高ぇなーコイツ。

後、お前がここ最近で一番お経で退散されそうな見た目なんだが?


「ええ、だってウンコロコロって言うから。僕もコロコロしたヤツの時あるよ?水神様もそうなの?」


「お前は一旦ウンコから離れろっ!お子様かよ!あっ、お子様だ!もういっそのことウンコタロウに改名しなさいよ!」


コタロウもコレには大笑いで、「ウンコタロウ!ウンコタロウ!」と連呼していた。


コタロウのウンコネタの途中から笑い転げる俺に、「おじさん、水神様に怒られちゃった」テヘッ!と全然反省してないコタロウが照れ笑いしてる。


子供って何でこんなにウンコ好きなん?


「しかし、オタクのハイテンションって、ウザくてなんかムカつくよな」


「アンタ……、本当に嫌な事言うわね……。そんな事より、仕事は終わったわよ!本当に大丈夫なんでしょうね?まだ、結構な数いたわよ?」


コイツが何をやったのかは分からないし興味もないが、探し出す手間が省けるならなんの問題ない。


周りに赤点がコチラに向かって来るのをMAPさんでも確認できた。


「よっしゃコタロウ!来るぞーっ!経験値とポイント祭りじゃーーっ!」


「オゥーーン!ワォッ!ワォーーーーン!」

コタロウも雄叫びを上げて喜んでる。


「ソッチも頑張れよ」

一応、水神にも声をかけてやった。


「エェェェッ!私も戦うの!?聞いてなわよ、そんなの!イヤイヤ、待って、私、魔力枯渇寸前なんですけどぉぉお!?」


「別に部屋がどうなってもいいなら構わんぞ」


「クッソ、この悪魔!人でなし!」


「無駄に長い寸胴みてーな体張って食い止めろよ」

「水神様ウンコ大丈夫?」


「お前ら二人ともぉぉぉ!サハギンの餌になれやぁぁぁっ!」



祠の上に陣取ると、小島に上陸した個体から魔弾をぶち込み始めた。


「コタロウ数匹ずつ通すから、落ち着いて処理しろ」


「う、うん!」


コタロウも、ワラワラと小島に集まってくるサハギンの数に流石に少し戸惑っている


「いけ、コタロウ、スピードスターだ!」


「ウン、あっ!ビッカー!ビッカァー!」

華麗なステップからの鋭いフリッカージャブの嵐がサハギン達に襲い掛かる。


今回は敵も多いので、金属多めのセスタスをコタロウの拳と前腕に装備させてある。

おかげで防御力と殺傷力が段違いで上がった。

サハギンの頭が陥没するほどだ。


順調に数を減らしていくコタロウと俺。たまーに水神


コタロウの魔力が切れそうになったら『指向性散弾』でコタロウとサハギンの間に間隙を作り、マナポーションで魔力を回復させる。


コレを三度繰り返してサハギンの殲滅を確認した。



サハギンの殲滅成功報酬:60000P


サハギン討伐680匹達成報酬6800P

        ・

        ・

        ・

サハギン討伐1000匹達成報酬10000P


合計337200P


そしてついに……


『聖獣の社会復帰を確認。イベントクリア!』


聖獣社会復帰報酬:1P

湖浄化報酬:20000P


職業進化ジョブランクアップを解放しました!


聖獣の社会復帰ってwそんな言葉初めて聞いたわw

しかも、報酬1Pってなんだよwww


コイツ、運営ですらこんな扱いなんだな。

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