第93話 男二人の飲み会

おっさんがおっさんに、自分のアソコを純真無垢なピンク色にできないかと相談しながら酒を飲んでいるテーブルの周りには、客が寄ってこないらしい。

おかげで俺達の席はゆったりできる。


「そんな訳で俺のおニンニンをピンクにするにはどうすればいい?」

「そういった手術や施術はあるにはあるんですが、この世界ではちょっと無理でしょう。それに、そんなんで本当にステータスが3倍になるなんてあります?」


まぁな、確かにそうなんだが、それはの意見である。

の俺としてはそこに可能性があるのならば試してみたいのだ。

言うなれば俺のおニンニンは"可能性の獣"である。

「それでも!」と言いつづけるのだ!


とりあえず、試しに美白クリームを乳首に塗って様子見しようとプリンパパと合意至った。



店に数人の男達が入ってくると、酒場の喧騒が急に静まり返る。

人相も風体もカタギには到底見えない輩が五人ほど、こちらに向かって歩いてきた。


「兄貴!すいやせん、お取り込み中でしたか?」

"袖無し"と無頼な輩達だった。


「あぁ、構わんよ。何か用か?」


「へえ、姉さんが会いたいと申しておりまして。時間がある時にでも顔を出してくれればと」

袖無しの刺青の入ったぶっとい腕を見て、ちょっと怯えるプリンパパ。


「彼はこの間救出した俺の同郷人だ。プリンパパ、そんなに怯えなくてもコイツは救出した時に一緒にいたヤツだ。そんな危ないヤツじゃない。アンタの変身の方がよっぽど危ないと思う」

変身と聞いて顔が引き攣った。


「兄貴の同郷ですか!そりゃ、なかなかヤベェお人だったんですね?おい、テメェらもちゃんと挨拶しろ!」確かにマジカル姫凛はヤベェ。


強面達に丁寧に挨拶されて戸惑っているプリンパパをよそに、袖無しは「それでは失礼しやす!」と言って、店にいる全員の酒代を払って出ていった。


「黒井さん、あの人達がローズファミリーなんですね。何か、怯えてる間にお礼を言うのを忘れてしまいました。申し訳ないです」


「いいよ、どうせまた会う機会はあるし。それより、店変えようか?お姉ちゃんがいる店なんか、どう?」

結構飲んだし、無駄に目立ってしまったので河岸を変えたい。


「そういったお店もあるんですね!子供も預かって貰ってますし、行っちゃいましょうか!」

と、ノリノリのプリンパパ。


ローズの経営する、SMクラブ風のバーに入りプリンパパのテンションはMAXだ。

たまに来るには面白いと思うが、俺はあんまり通いたいとは思わない。

だって、俺が座ってるスツール、半裸で目隠しした四つん這いのおっさんだし。


ムチを持った店員がプリンパパに「どう?お仕置きされたいの?」と聞くと、俺をキラキラした目で見てきたので「行ってこい」と手を振ると、仔犬のように嬢王様について行った。


一人で飲んでいると、俺の所にも女がやってきた。


「俺はいいからツレにサービスしてやってくれ」

今はムチで攻めてもらう気分ではなかった。

どちらかというと今夜は、「よちよち。いい子ねー」と優しく授乳手コキされたい気分だ。


「あら、冷たいわね。それならお酒に付き合ってもいいかしら?」

ドキっとして顔を上げると、ボンテージ姿のローズが微笑みながら立っていた。

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