第77話 粛正の嵐①

俺はブリスク郊外にある、なかなかに立派な館を見下ろす裏山の中腹に寝そべっていた。


シューティングマットのおかげで湿った地面で汚れたり濡れたりする事もなく快適である。

ギリースーツを着込んでいるので、遠くの屋敷からはおろか動いたりしなければすぐ側で注意深く見なければ気づかないだろう。

二つ合わせて700P也


当主は辺境領内有数の武門の家柄で子爵位、領内クンニ派筆頭らしい。


その、『当主と次期当主である長男の暗殺』


それが今回のミッションである。


子爵家皆殺しではなく、領主派……というより白光教団の聖女派に取り込んだ次男に跡目を継がせるのだという。

捕虜に取った僧兵2人の内の1人だ。


あの天然破廉恥聖女にどハマりしたらしい。

俺だって醜い豚にこき使われるより、オッパイにこき使われたいと思う。

寧ろ、あのオッパイでしごかれたいまである。


貴族同士の権力争いには興味ないが、大司教亡き今一気にクンニ派を潰してしまえとあいなった。

躊躇う辺境伯を長男と五男が説得し、俺がその仕事を請け負った。


別にクンニ派が嫌いな訳ではなかった。

「人を導くのは高貴な者の務め」的な教義も別に嫌いじゃない。

寧ろ、この世界の文明度でいえば至極当然とも言える。

元の世界の、権利だけは一丁前に主張するゴミみたいな奴らよりかは、余程好感がもてた。


残念ながら俺達転移者を自分達の道具として使おうとしたため、今回は敵と判断したまでだ。



武門の家柄の為か、館は強固な防壁で囲まれ裏手は山で部隊の行動を著しく制限させ一気に包囲されたり、攻め落とせないように砦化されている。


鎧兜に剣槍で武装した部隊での行動なら難しいが、俺1人でなら何ら問題なく、寧ろ山中行動は得意分野である。


館を監視できる地点に入りターゲットを探しつつ兵力や部隊の偵察を行う。

狙撃後の逃走経路を選択する為だ。


カメラの様な魔道具があるらしく、高価だが貴族なら写真並みに精緻な肖像画チックな写真?を撮ってある。


辺境伯が所有してある資料に、ターゲット二人の写真があったのでキッチリ記憶した。


狙撃スキルと視力強化で屋敷内をガラス越しに観察していると、とある部屋でターゲット二人を発見した。

室内には他の人間はいない。


距離 約500m

風等の計算が要らないのでめっちゃ楽だ


机に向かい座ってる子爵と立ったまま話しているその息子。


ラプアマグナムの魔弾で息子の方から心臓を狙って撃った


膝から崩れ落ち驚愕の表情の息子の眉間に次弾が命中、後頭部から中身を撒き散らし死亡。


椅子から立ち上がる子爵の頭を吹き飛ばし任務完了


銃火器のない世界で、俺のバレット改は未だ有効な対策もないだろう。

その内バレるとしてもまだまだ優位を保っていられる。

まぁバレたとしても弓より遠距離攻撃可能なバレット改に対する手段なんて早々無いだろ。

狙われたら終わりだ。

常に周囲一キロ近くを厳重警戒なんて無理だ。

後は装備で対抗するか……

魔力攻撃無効の装備とかあったら困るなぁ


なんて思いながら軽い足取りで帰路についた。

勿論、誰も襲撃に気づいていない。


またレベルが上がった

報酬メールの着信もある


"超越者"であった子爵の経験値が多かったのか、累積経験値のせいかは分からないがレベリング大好きっ子の俺は、ルンルン♪とスキップしながら(時速40kmは出てた)市内に戻った。




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