第64話 チコとポッチとブルーチーズ
「ほぉー!これは、なかなか立派もんだなぁ」
俺は身体強化と狙撃スキルのズームを駆使して二つの立派な山を見ていた。
山城を見上げて
「そうだろ?この山城はかなりの金と労力と時間をかけて作られたんだ!私の生まれた町はすごいだろう!」
ギルド職員の残念イケメン金髪の故郷自慢が始まったが、俺が見てるのは町の入り口辺りにいる真っ白な薄手のローブを着た巨乳の聖職者と思われる女の胸だ。
薄っすらとポッチが見えるところが、たまらなく素敵な山だ。
強化andズームでガン見してもバレない。
チクポチ性職者万歳である。
あの薄いローブならケツの形もバッチリだろう。
ポッチに気を取られ過ぎて気づくのが遅れたが、白装束の団体が街道沿いにズラりと並んでいた。
ポッチちゃんが腕を上げると、そのたわわなお胸が揺れ、それが合図だったのか隣りの騎乗したままだった男達が下馬した。
ポッチちゃんだけやたら簡素な作りのローブだったが生地だけはは高級そうだ。
俺もあの胸で指図されたい……
ブルンッと揺れれば跪き、プルンと揺れたら敬礼するのだ。
そんな素敵なハンドサインならぬオッパイサインを考えてたらポッチちゃん達はこちらの商隊一行に対して両膝をついて祈りだした。
「なぁアイリーン。この町はこんな馬鹿げた歓迎をする町なのか?」
「何度かこの町に来たことあるが、こんなもの初めて見た。見たところ白光教団のようだが……」
教団ねぇ……あまり宗教に関心のない日本人代表の俺は宗教関係の事など調べもしないし関わらないようにしてたので、あの怪しい奴らの事など全然知らない。
「お前が最初にギルドに着てきた巡礼者の旅装束は彼等と同じ聖教の物だったろう?主流派の教団を知らんのか?」
あのボロ臭い初期装備は聖教とかいうところの服らしいが……
「あれは貰いもんだからな、仕方なく着てただけだ。宗教なんかに興味はないぞ」
「魔導師の私が言うのもなんだが、それは流石に罰当たりだろう……」
「おっと?魔術関係は教団と仲が悪いのか?」
「お前……なぁ……まぁ、あまりいい関係とは言えないな……」
呆れ顔のアイリーン。
「なら、やっぱり俺も関わらないでおこう。これでも魔法使いの端くれだからな!」
「いや、仲が悪いのは魔導院や協会であって、お前みたいな個人がどうとかってのはないから心配するな」
アイリーンは魔術関係最大派閥の有力者の一人だが俺みたいなどこにも所属していない弱小魔法使いは関係ないらしい。
ホッとした反面、ちょっとだけ寂しい……
全ては魔力がステータス中最低なのが悪い!
ひいては神と名乗るヤツのせいでもある!
やはり教団とは距離を置こう。
いきなりの集団奇行が不気味すぎてドン引きしてる俺達は、とりあえず無視して通りすぎようとした。
しかし、ポッチちゃんがこちらを凝視して声をかけてきた。
「使徒様お待ち申し上げておりました!我等、南部・白光教団、お迎えに参りました!」
こっわっ……
何でコチラを把握してんだよ!コイツらコエーよ!
俺のオッパイ旅情は跡形も無く吹き飛んだ。
神聖ストーカーのポッチちゃんは、しかしながら誰が使徒なのかを目線で探しているようだったので、
「チコ、いや、チコ様は使徒だったのですね!なるほど!確かに聖なるオーラが溢れております!」
ボルグにアイコンタクトを送るとめちゃくちゃいやらしい笑顔で「おー!やはりチコ様は普通の者とは違っていたのですね!えーっと、使徒様万歳!」
演技はあれだが急なアドリブにも対応できる、さすがBランク冒険者。
馬車の窓から一連の流れを見ていたマルコスさんも
「聖なる使徒、チコ様。我々は先に行っております故、ごゆっくり」と面倒そうな一団をチコに押し付ける熟練の技を見せる。
こういう時にアイリーンは一切当てに出来ない。
場の空気など一切気にしないタイプだからな。
「え?な、何?皆んな何言ってんの?」
哀れなチコは皆んなに売られた事に気付いてない。
なんて使い勝手の良い駒なんだろう。
「それでは我々は先を急いでおりますので。チコ様をよろしくお願いします」と言ってさっさと町に入る。
チコは白装束の男達に囲まれて「え?え!えー!何?コレ!えー!」と、パニックだった。
さらば、チコ。いつの日か。
しかし、神聖ストーカーは使徒の識別までは出来ないようで安心した。
宿の一階の酒場でいい感じになってると怒り心頭のチコが「酷いよ皆んな!あれから大変だったんだよ!教団に連れて行かれて裸にされるし、男にゴシゴシ身体を洗われるし、誤解だと言っても全然聞いてくれないし!なんなのあの娘!」
オコだ。激おこチコだった。
本当に連れて行かれないでよかったと思った俺は、
「大丈夫か?尻穴は。まぁまぁ、取り敢えずこっち来て座れよ」と言い
ボルグは「ほら、お前の好きなブルーチーズだぞ。好きなだけ食え!」と食い物で釣る。
「こんなので許さないよ!」と言いながらもチーズを貪ってるチコに「町に帰ったら女の子がいる店に連れて行ってやるから。勿論、俺の奢りで」と女で釣る。
「えっ!本当に?あ、あ、うん、いいよ!絶対だよ!絶対連れてってよ!」
フィーーーーッシユ!簡単に釣れた。
ブルーチーズ臭のするあの娘を紹介してあげよう。
俺はエレクチオンしなかったけど、ブルーチーズ好きなチコなら平気だろ。
しかし、この純朴騎馬民族青年は悪い大人達に囲まれて、本当に大丈夫だろうか?と心配になった。
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