第38話 間抜けの小金持ち
町まで半日程度の距離にある野盗のねぐらは滝の近くの
街道から森に入って1時間ほど歩くと落差7、8 mの滝があり綺麗な沢になっていた。
洞穴の横に見張りと思われる男二人が座って談笑している。
罠も一応警戒していたがMAPに反映される上、到底プロの仕掛けた罠とは思えない無様な仕掛けですぐに見つける事ができた。
それで逆に警戒してしまった。見え見えのトラップで油断させ巧妙に仕掛けた罠があるのでは?と。
トラップを解除するとMAPの罠マークが消えたのであれが本命だったらしい。
男二人は狙撃スキルの実験台として利用する
射線の通る場所でさらに距離を取れる場所がなかなか無かった。
沢を挟んで男二人がほぼ一直線に重なる形で距離が200mの地点で狙撃Ⅰの発動を意識する。
スッと視界に変化がおきた。倍率はおそらく3倍から6倍の可変式といったところだろう。スコープと違い視界を極端に狭めないのが気に入った。遠距離からの精密射撃には向いてないが中近距離なら使いやすい。
スキルレベルが上がれば倍率もあがるんだろう。
魔弾は実弾のような弾道特性がなく狙った場所を外すような事もなかった。魔法最高!
狙撃スキルは標的を捉えるのには非常に便利だと思う。
7.62mm弾をさらに貫通強化型にして男達の頭部が重なったところを狙撃した。
構えを解かずに静かに接近するともう一人出てきたので頭を吹き飛ばす。
一人だけギリギリ息があり痙攣していたので心臓にもう一発撃ってとどめを刺す。
洞穴の様子を探り索敵MAPで12個の赤点と3個の緑点を確認した。
「これは…」中に誘拐した民間人か官憲等の捕虜がいる可能性が高いな
「まいったなぁ…」洞穴の入り口を魔法で軽く塞いで業務用バルサンを2、3個放り込んでやろうと思っていたのに…
まあ、多分死にはしないだろうが美少女ハーレム候補生だった場合好感度が下がっちゃうのはまずい。
両腕の魔力を充填し、5.56mm弾に変更。
緑の3つの点は奥の広間より入り口側の横穴に固まっており、そのすぐ側に赤点が2つ。
側の赤点2つを排除すれば、襲撃に気づいて人質にされる心配も無いと判断し静かに洞穴に足を踏み入れた。
所々天井部分や壁を補強してあり、自分たちで穴を広げたんだろう努力が見える。努力するベクトルが違うんだよなぁ…
横穴は丸太の格子で塞いだだけの粗末な牢だった。見張り役の男の一人は眠っているようで、もう一人は牢の中の人間に話しかけているようだった。
共に、地べたに座った状態だ。
コイツらとんだ間抜け揃いだなとほくそ笑むと、会話するのに夢中になってる男に忍び寄り首をナイフで掻き切った。血の泡を吹いてもがく男。
格子の向こうから「ヒッ!」と驚きと恐怖の声が漏れそうになるが「シーッ…」と人差し指を口の前に持っていくと中の女は慌てて自分の口を押さえた。
少なくとも中の人間はこの状況を理解できるくらいには馬鹿でない事を喜んだ。
馬鹿は助けても後々面倒になる可能性が高い。
理性的な人間なら話しは簡単だ。
眠っていた男がもぞりと動くがその瞬間にナイフが首を前後に貫通させた。
「大人しくしてれば助けてやる」と小声で伝えると中の男一人と女二人は素直に何度も頷いた。
奥の広間の前で立ち止まり
「こんにちは!みなさん!討伐に来ました!」
と大声で用件を伝える。
一斉にこちらを向いた盗賊達にフルパワー灯光魔法をお見舞いし、フルオートで魔弾をばら撒いた。
阿鼻叫喚の地獄絵図に苦笑いしながら魔弾をリロード、光りで眩んだ目を押さえている者、撃たれた場所を手で押さえる者、当たりどころが悪く死んだと思われる者、関係なく公平に魔弾を2発づつ打ち込んで殺した。
広間の奥の部屋にいた一人以外は
騒ぎに気づいて出てきた片目の男に
「どうも、親分。片目のギルだっけ?間違いない?間違ってたら殺すしか無いけど、本物だったら一応生かしておいてやる。大人しく縛について…」
と、言い終わる前に手斧を振り上げ襲ってきた。
大した速さもなく、手斧の間合いどころか槍の間合いにすら到達する前に非貫通型の魔弾を単連射で、2発を胴体に2発を右足に撃ち込んだ。
あまりの痛みにもんどりうって倒れた。
泡を吹いて気絶してる間に手を縛り首にかけて足を縛る。
恐らく肋骨も折れいるのでこれで暴れたり逃げる心配も無い。
そのまま地面に転がして奥の小部屋のように仕切った場所を漁ると40cm四方の装飾が彫られた木箱に金貨や銀貨がぎっしりと詰まっていた。
アイテムボックスに収納すると金貨251枚銀貨372枚が入っていた。概ね288万2千円。
コイツら間抜け揃いのくせに、まぁまぁ持ってたな
コレ、本当に全部俺が貰っていいの?
後で謝礼で2割とか言わない?相場は1割とか言わないよね?拾得物のお礼じゃないんだし。
小心者の俺はちょっと不安になった。
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