第35話 天地神明
目の前の褐色冷徹系美人のアイリーンを凝視しないようにしかし、しっかりと視界に収め続ける
ああ匂いを嗅ぎたい!と、強く空気を鼻から吸うが
その取り込まれた大半は隣りのマルコスさんの匂いだった。
無駄にいい匂いなのが逆に腹立つ
「で、お二人が揃ってやって来た理由をお聞きしましょうか。」
ギルド長の言葉は丁寧だが顰めた顔はこの状況を良しとしていないのがわかる。
あえて顔に出しているのだろう。ギルドとしては今回の依頼に反対だと。
そんなギルド長の事など気にする様子をみせず
「あくまで冒険者ギルドが依頼を仲介しないと言うならば個人的に契約を交わすしかありませんな」
「マルコスさん!貴方は自分の立場を理解しておられないのですか?貴方の身に何かあればどうなるかくらいお分かりでしょう!?」
「私の身を案じていると?」
「当たり前でしょう⁉︎この町いや、この領でも有数の商会長ですよ!此方だって他の優秀な冒険者を用意すると言ってるんです!」
マルコスさん、町でそこそこ有力オジサンどころか領内でそこそこ有力オジサンだった。
「その中にマジックボックスを使える者がいると?
彼より優秀なマジックボックスを使える冒険者がいるなら是非とも見てみたい。」
マルコスさんがそう言うとギルド長は驚いた顔で俺を見た後、アイリーンに確認するような視線を送り
アイリーンは頷いて答えた。
「まぁ、ギルド長の懸念もわかる。が、今回は護衛戦力としてあてにしてる訳じゃない。そんなに俺の事が心配ならギルドから監視でも付けたらどうだ?得意だろ?」と、言うとギルド長は俺を睨んできた。
アイリーンは横目でギルド長を見て、分からない程度のため息を吐き、マルコスさんは笑っていた。
渋々ではあるが依頼の仲介を冒険者ギルドが請け負うことになり、マルコスさんは1週間後に使いを送って詳細な日程を知らせると言って依頼の手続きのために出て行った。
「心配するな、自分の身は自分で守れる。正当な扱いをして貰えるなら滅多な事はしないさ、裏切るメリットも俺にはないしな。」あったとしてもデメリットの方が大きい。
「昨日2人も治療院送りにしといて、どの口が言う!」
「あれが正当な扱いだったと?随分と行儀の悪い連中だったがなぁ。躾ができてないのかもな。」
「ぐっ…」と、言葉を詰まらせるギルド長にアイリーンが「今度の案件はこのギルドにとっても重大な案件だ。依頼主の身柄の安全はもとより、依頼主の利益は我々の利益でもある。コネクションの価値は計り知れない。私も同行しよう。」
「「!!!」」
俺も驚いたがギルド長も驚いていた
「いや、何も君が行かなくても…」
「よろしく頼む。何せこっちはヒヨッコ冒険者だ、心強い存在がいるにこしたことはない。」
こんなチャンスそうそう無いだろう
いいとこ見せてラブチュッチュ大作戦!発動しちゃうかもだろう?
一カ月以上の間、一緒に依頼をこなすのだ
お近づきにならない方がおかしい…
ギルド長は俺を完全に白い目で見てたが、無視だ
「それに今回護衛隊長のBランクが1人。それ以外はまだC ランクのメンバーしか決まってない。重要案件の依頼としては戦力に不安がある。」
ギルド長は低くうなると、「まぁ君がいれば何の問題もないだろうが…」と
煮え切らないヤツだ。
俺のラブチュッチュ大作戦の邪魔をするな!と言いたいが、本人を目の前に口に出すどころか態度にも出ないように注意する。
本性がバレてその冷たい瞳で蔑まれ、侮蔑の言葉をあびるのは最後の楽しみにとっておかねばならない。こんな美人になら、いっそ蹴られてもいい。
だが今じゃない
ラブチュッチュしてからだ
ラブチュッチュは大前提だ
そのあと蹴られたい
「ギルド長心配するな。こんな美人の足を引っ張るような真似はしないさ」
足は舐めまわしたいだけだ
嘘じゃない、神に誓って、舐めたいだけだ
「天地神明に誓って」全然信用してない顔のギルド長に、今年一番の笑顔でそう言った。
—————————
ここまで読んで頂きありがとうございます!
続きも読んでやってもいいぜ!って方は
⭐︎評価、フォローお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます