『まほうつかい』のお仕事 ザコセンと呼ばれて〜雑魚殲滅系職業物語〜

風呂太郎

プロローグ

 要塞の城壁の上で殲滅を冠する二つ名を持つその男は、眼前に押し寄せる雪崩れの如き魔物の群れを前にして努めて冷静に、「こりゃすげーな…」と薄く笑うと、ほんの僅かな小さな声でつぶやく。


「魔力充填……展開……諸元入力……」


 男がブツブツと唱える言葉を聴いた者は、この男が何をしているのか分からなかった。


 かき集められた優秀な魔導士等戦闘魔法使い達の中にも、あんな魔術の詠唱など聞いた事ことがある者などいなかった。


 男の頭上に6つの少し大きな魔法陣が浮かぶ

 横に3列、縦に2列


 男が叫ぶ。

「目標前方の敵!1番から3番まで撃てファイヤーーーー!」

別に魔法に必要な詠唱ではなく、男の気分で演出してるだけだ。


 3つの魔法陣より発射された巨大な光の矢は魔物の遥か上空に向けて飛んでいく。


 見る者全てが「的外れ」そう思った瞬間、光りの矢は魔物達の上空で砕け散ったかと思うと数百の小さな光りの球となって魔物達のいる地面に降り注いだ。

「「「ザッ!ドンッ!!」」

 光りの球は魔物や地面に衝突するやいなや小さく爆発を起こして魔物を吹き飛ばし、その手足を臓物を血や脳漿を撒き散らした。


 一発の巨大な矢は約600個の光りの球となり半径200mの範囲に降り注ぐ。

 それが3本

 続いてもう3本


 km単位で群がる魔物を薙ぎ払い、恍惚の表情を浮かべる男に仲間であっても薄ら寒くなる。


 男曰く、多連装ロケット砲を参考に開発した魔砲である。と

 この魔法は最下級の攻撃魔法を改造した物である。と



 これは、雑魚相手にしか挑まない『雑魚専門』と腰抜け呼ばわりされた男の物語である。



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