第21話 夜食回

「お袋がコレ、使えって…」と息子がタオル的な布と木でてきたサンダル的な物を持ってきた。


 あの奥さん有能すぎない?


 礼を言ってついでに樽から降りるのに肩を貸してもらった。

 全裸のまま肩を掴もうとしたらスゲー嫌そうな顔をされたが構わず息子の肩をつかんでサンダルに着地した。


 布を腰に巻いて母屋に入ると深夜にもかかわらず、食事を出してくれた。


 虹鱒に似た魚の燻製を少し炙った物と塩漬けの豚、蒸した芋にチーズ。

 ワインの栓を抜きながら牧場主が「まぁ、座ってください。一杯どうです?」と聞いてきたので頷いて席に着くと陶器のコップになみなみと注いでもらい、燻製に齧り付き塩気と香草をワインで流し飲む。

 まだ熱々の芋にチーズを乗せて頬張る。


「明日、村長が家に来て欲しいそうです」


「わかった。ひと眠りしたら森に入る。その後行くよ」


「魔獣の塒を探しに?一緒に行きましょうか?」


「場所の見当はついてる、1人で問題ない。そっちこそ後始末があるだろ?動物の世話もあるだろうしな」


 囲いを破ったのは俺じゃない。破れた所をさらに広げて焼いただけだ。


 それに、正確には着火させたのは息子だ。


 苦笑いの牧場主は「しかし、本当アレには驚きましたよ」と言い

 俺は「まさか成功するとは思わなかったけどな」と返す



 ソコソコ腹を満たし寝起きに響かない程度に飲んで眠りについた。

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