第7話 カッペはディスるよ
ようやく未舗装ではあるものの細い道と呼べるような物が見えてきた。
その道を真っ直ぐに進めば小さな村か集落のような所にたどり着ける。
途中の分岐点を右手に進めば町だが、コマンドの基本情報によるとある程度の大きさの町や都市に入るには住人や特定職の者以外は入市税を取られる可能性が高いらしい。税額は国や領主、首長によってバラバラだ。
無一文である現在、このまま町に行ってもゴタつく可能性があるので村等で現地通貨を手に入れたい。
角ウサギの素材を売れば入市税くらいなら手に入るだろうし。
道を進み見えてきた村は、一言でいうと"村"だ。
村 of the村。
紛う事なき村の住人であろう、「農夫とはかくあるべし」と言わんばかりの爺さんに声をかけようとして逆に先手を取られた。
「あんた、誰ね?」
異世界だからといって田舎や小さな集落が牧歌的だと思い込んでいた。(判断ミスか!)
現代の日本ならこんな失敗はしなかった。
日本の田舎は排他的だ。(決めつけ)
小さな集落、過疎地は他所者に対して敏感で、大体悪い方に反応する。
特に都会から来た者に対する僻み根性は、田舎モンの感情を刺激するのだ。(失礼)
自分が田舎出身だから知ってるのだ。(納得)
この世界の村も、お互いがお互いを助け合い、また監視し合い一つの共同体として結束しているのだろうか?
なんて、脳内で元田舎者が田舎をディスっていたら、
「格好からして、旅人け?珍しいなぁ。宿屋なんかねぇけど集会所には泊まれるっけね。時間も時間だしの、案内しよ」
と老人は村に歓迎してくれるらしかった。
聞けばこの老人、村長らしい。
村長に案内され村の集会所に入り、たわいもない話しをしつつ角ウサギの素材を買ってもらう事になり村長の家に素材を運んだついでにと、お茶と夕飯にお呼ばれした。
アイテムボックスで驚かれ、魔法職である事にさらに驚かれた。魔法職になれる程の魔法の才能は稀有である事は知っていた。
自分がその中の一人としての実感はまるでないないが。
なんてったって、『まほうつかい』だし……
「なんでまたぁ魔法使いにまでなった方が旅なんて……いや、すまんのう。変な事を聞いたかのう。老人の悪いくせじゃのう」と一人で恐縮し始めた。
苦笑いしながら「未熟者でして……、まぁ修行の旅です」と答えると、村長はしきりに感心していた。
焼いたウサギの肉を出してもらい、ワインまで飲ませてもらった俺は、昼間はしゃぎ過ぎたせいか疲れていたのだろう。
集会所の簡素な寝床に入ると即寝であった。
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