初めての訪問

僕の家に星川を入れる前に言った。


「星川、前にも言ったと思うけど僕今は父の恋人の奈津さんって人と一緒に住んでるんだ。…ちょっと変わってる家庭だからびっくりするかもしれないけど気にしないで?」

彼女が今留守にしている事を願うが、念のために言っておく。


「うん、僕は気にしないから大丈夫だよ」

そう言って星川は笑ってくれた。


「ただいま…」

友達を家に入れる事を伝える為にまず僕だけ家に足を入れるとやはり彼女は居た。


「あぁ、やっと帰って来たのね、あんたの父親に夜遊びが酷くて家に帰らないって話して正解だった」

父の恋人…奈津なつさんはドレッサーに向かい振り返らずにそう言った。


「友達の家に泊まってただけです。夜遊びなんてしていません」


「そんなのどっちだっていいのよ!あんたの面倒見てあげてるんだから家の事くらいしなさいって言ってるの!!ここ最近コンビニばっかで肌荒れしちゃったんだからっ!」


家の中を見渡してみれば、僕が片付けた時に比べて出前をとったのであろうピザの空き箱や貸袋などで散らかっている。


「じゃあこれから家を空けるときは冷食を作って置くのでそれを食べて下さい」


「私は出来たてが食べたいの!!まったく気が利かないわね。そんなんだから彼女の1人も出来ないのよ。まああんたみたいなブスに出来るわけないか!」

そう言いながらバカにしたように笑う。


何かにつけて奈津さんは僕の外見を否定してくる。多分理由は父よりもぼくの母の方に似ているからだ。

といっても母の顔は知らないだろうし、彼女の前では何だかんだずっと眼鏡と長い前髪の姿だったので知っていても似ているのかも分からないと思うが。

…父と結婚していた母と息子の僕が憎いのだろう。


「あ、それと私いまから出かけるから。部屋の片付けと洋服のアイロン、宜しくね♪」


そう言って彼女は玄関へ向かってしまう。


「…あ、あの。友達を家にあげて良いですか?」


「…は?あんたに友達なんているの?」


「今、玄関の前で待ってるんです」


僕がそういうと、彼女はニヤッと笑う。


「へぇ?あんたの友達なんてブサイクなんでしょうね。類は友を呼ぶって言うじゃない?面白い!私が確認してあげるわ」


そう言って彼女は勢いおく玄関のドアを開けた。



「……え?」


そこには美しく完璧な笑顔を浮かべる星川が立っていた。

「始めまして、月くんの友達の星川 翠といいます。」


ブサイクだとバカにするつもりでドアを開けたのに目の前に現れた白い美少年に彼女は驚きを隠せないようだった。


「…急にすみません。びっくりさせてしまいましたよね…?僕…アルビノ症で髪の毛も目の色と人と違うんです。」

風変わりな容姿に少し驚いたようだったが、説明を聞くと納得したようだった。


「…そう。男の子…なの?」


「はい!よく間違えられますが男です」


「…月にこんな綺麗で素敵な男の子と友達なのね。意外…」


「とんでもないです。僕こそこんな美人なお姉さんが月くんにいたなんて知らなかったです」

そういうと星川は顔を赤らめた表情を見せる。


…は?まじか星川。


「まあ!正直ね?あなたかわいいじゃない…でも私はお姉さんじゃないの。奈津って呼んでいいわよ?」


彼女も満更でもなさそうだ。

おいおい、うそだろ。

…いくら美形でも相手は高校生だぞ?

確か…40近いんじゃなかったっけ?


「残念ね…私今から出かける用事があるのよ。遅くなるからその時には翠くんもう帰ってるでしょ?まあ今日の予定断っても…」


「…僕、奈津さんが帰ってくるまで待ってますよ」


え、星川…本気なのか?

胸の奥がモヤモヤする。


「そう?なるべく早く帰ってくるから」


「ゆっくりで良いですよ、僕はちゃんと起きてますから月くんが寝た後でお話しましょう?」


「…まあ、分かったわ!」

彼女は舌舐めずりをしながらいやらしい目つきで星川の体を下から上へと舐めるように見つめた。


「じゃ、行ってくるわね。月、私の寝室を綺麗にしておくのよ、いい?」

そう言って彼女は去っていった。


なんとも言えない感情のままとりあえず星川を僕の部屋に連れていく。


「…わあ。ここが月くんの部屋なんだね。ずっと来たかったから嬉しいよ。」


「大したものないでしょ。というか、星川…」


「なあに?」


「…あの人に一目惚れしたの?」


「ん?あの人って?」


「奈津さんだよ、僕の父さんの彼女!」


「…あぁ。あれ、冗談だよ。月くん分かってなかったの?」


あぁ…なんだ。2人とも冗談だったのか

本気なのかとびっくりした。

ほっと胸を撫でる。

先程まで緊張していた為、安心したと同時に喉が乾いた。

先程星川が持って来たと出してくれたジュースを一気に飲み干す。


「もしかして妬いたー?」


…は⁈そんなわけないだろ⁇

「べ、別に星川が誰を好きになろうと関係ないし、僕はただ父さんの彼女だし歳離れてるから流石にだめだと思った…だけで…」


なんだ?体が熱い。


「へぇ?どーでもいいんだー?」


星川の目が笑っていない。


「誰でもねぇ…関係ないってなんて言ってるけど一番関係してるんだよ、月くん?」


何のことだ?


「月くんってほんと、僕を煽るの上手だよね、」


煽る?そんなつもりはない。


「それはそうと月くん、今日は10だからね?」


そして僕はベットに押し倒された。




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