猫のような人 side翠

月くんが意識を失ったあと、僕はその姿を見つめる。

色白で夜の海の色のような髪に輝く月の猫のような瞳。

いつも僕の事を華奢だと言うけれど月くんの方が細い。

背だって少し僕の方が高いのに…

月くんは自分の外見を自覚していない。

いつもは長い前髪と眼鏡で隠れているけどめちゃくちゃ綺麗な顔をしていて…色気がすごい。


僕はそれを他の人に知られたくないんだ。

知られれば#また__・__#月くんを失う事になる…


唯一月くんの素顔を知っているのは谷川 勝。

月くんの従兄弟だ。

自分の中だけに留めておくため今まで散々虐めて月くんの心を壊してきたくせに…図々しい。

目が悪くないのに眼鏡をしているのは不快だから眼鏡でもして顔を隠しておけと谷川が捲し立てたからだって。

まあ…そこに関してはいい仕事をしたな。

月くんの良さに気づくのは少ない方が良い。


横で寝ている月くんに目をやると縛った手首がアザになっていた。


…ちょっと強くやりすぎちゃったかな

罪悪感に襲われてそっと手を撫でる


「んっ…」

寝ているのにまだ薬が効いているのか月くんの色気のある声が出る。

同時に先程まで乱れていた月くんを思い出し、僕はまた月くんを愛したくなる。


「…そんな声出されたらまた我慢できなくなってきちゃった」

先程の寝返りで月くんはうつ伏せになっていた。

「…こういう体勢もいいね?」

そういって月くんを後ろから抱きしめた。


気を失っても体は感じるのか月の綺麗な口から声が漏れる

「っ、月くんかわいいっ!」


また後ろから月を強く抱きしめると翠は限界に達した。


「…っ」


「…ごめん、月くん、まだ…したいっ」


その後、またも翠の容赦ない行為が繰り返された。


自分の欲望を出し切ると月くんの体を優しく拭く。


「…ごめん月くん。僕病気かもしれない」

初めては絶対優しくしてあげようと思っていたのに…ブレーキが全く効かなかった。

最低…だ。

それに…僕の事全く意識してないと思ったらむかついちゃって友達なんておもった事ないって言っちゃった。


傷ついた…よね?

「…ごめんね。」

でも後悔はしてない。

友達としてだけでは無理だけどこれからもっと大事にしてあげようと心に誓う。


しかし、月がなかなか目を覚さない事に気がついた。


「…え?つきくーん、月くん?」

月くんがなかなか目を覚さない…


薬の量が、多すぎた?

いざというときのために前々から月くんに少量の薬を飲ませていたんだけど…

そうこう僕があたふたしていると


「…んっ。」


!!

「…っ!月くん起きたっ?」


…あー良かった。

…今から僕は君が望むように友達に戻るよ。


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