第36話 松
これでいい。それなりの結果で満足。これで十分だ。もう頑張らなくてもいい。これで終わり。
そう言えたならよかった。そう言えたなら、これで最後のはずだった。だからこの延長戦はわたしが作り出した地獄。私だけの地獄。
楽しそうな誰かを見て自分の惨めさに気づく。これは絶望だ。私も楽しく生きれるはずだったとか、また「もしも」の世界に思いを馳せる。そんな「もしも」はどこを探したって存在しないのに、なんて不毛な想像だろう。考える時間が無駄なのだから、早く考えるのをやめたらいいのにね。
夢にも消費期限がある。
あれからの話だけど、緩やかな希死念慮はまだ消えないままだよ。でも、ここまで長い付き合いなのだからこれも私の一つの個性として捉えてしまえばいいのかもしれないね。これから先何があっても消えないだろうから、長い付き合いだと思えばもう少しだけ前向きになれるのかもしれない。いつかの話。叶うかどうかもわからない、先の未来の話をしていたこと、今のうちにちょっと思い出す。
チョコレートを口の中で溶かすと舌に残る甘ったるさに吐きそうになった。頭が痛いのは糖分が足りないからで、だから手っ取り早く摂取しようとしているのに、この後に及んでもこの脳は甘いものを嫌ってくれているようだ。まったくも
って迷惑な話だ。いつになったらもとの味覚が戻ってくることだろう。
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