急に現れた幼なじみから、半ば無理やり長距離ドライブへと連れ出される、何も知らない佐野さんのお話。
現代もののボーイズラブです。
タイトル通り何も知らない佐野が、何も知らないままにヤバげな状況に巻き込まれるサスペンス的な物語。
のんきにラーメンを食べる日常の光景から始まり、でも幼なじみの桜井が登場した瞬間、急激に転がりだす物語。彼の強引さとその裏に透けて見える不穏さ、そして案の定のバイオレンス展開と、この急転直下ぶりが素敵でした。
まるでもらい事故みたいな理不尽さ。ついつい佐野の視点で「どうすればいいのか」を考えさせられてしまう、このハラハラ感がたまりません。
本当に佐野が何も知らないところが好きです。たぶん最初から最後まで全部。
作中の展開そのものはともかく、過去にまつわるあれやこれやくらいは気づいていてもよさそうなものですけど、でもきっとこの佐野は本当に何も知らなかったんだろうなあ、と思わせてくれるところが好き。
そして、結局何も知らないままのこの結末も。
スリリングな展開とのスピード感が楽しいお話でした。