神からの贈り物は天恵であり、天罰である

@NO-ImaTametoU-ima_LOSER-730

第1話 

 ゆらゆらと身体が揺れて風景だけが常に動いていく。これが山や川なら良いのにと思う。


どうも電車のこういう感じには眠けが襲い寝てしまうのだが、今日は違う。寝れないのだ。


ある駅に着き電車を降り迷路のような駅内を歩き回り、何番線の何線に乗ればいいのかが分からないでいる。


こんな時に千里眼や空間認識能力のような特殊能力が使えたらいいのにと思う。残念だ。


仕方なく、どの電車に乗れば目的地に着くのかを聞こうと、駅員さんに聞こうと歩き出した。


近づいていくと、このホームだけが赤くぼやけて見える。


僕はずっと視力検査で右目も左目もAであったが、ついに目が悪くなったかと少し落ち込んだ。父も眼鏡を掛けているので親子の因縁みたいなものだ。


何かが聞こえる。


いや、違うみたいだ赤く漂うそれはだんだんと変化しスタールビーの果肉のように染まっていた。


嫌な予感がした。


この赤いのが何か分からない。それに自分の横を通って行く人たちを見て、他の人たちには見えていないのだと察する。


ではなんだ?


遠くから鉄を切るような音が迫ってくる。


気付けば非常ボタンを押そうと走り出していた。


周りの人も異変に気づいたようだ。


ボタンを押した。けれども電車の勢いは止まらない。


目の前で数人が電車に身を投げた。


それを只々見ている事しかできない。


親から貰った、神様から頂いた身体を捨てたのだ。


電車の先頭車両が赤く染まっている。そがの血なのか?先ほどの赤いモヤなのか?僕は何を見ているのだ?


考えているとサイレンの音や誰かの悲鳴が聞こえたが、子守唄のようだ。


そう、もう眠ってしまいたい。


僕は俯きに倒れていることに気づいた。


子守唄が少しずつ遠のいていく。


つかれた。














  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

神からの贈り物は天恵であり、天罰である @NO-ImaTametoU-ima_LOSER-730

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る