<幕間> 登場人物たちによる、ユウの匂いに関する考察

 参加者:ライラ、ジーナ、ルシア先生、アリシア、レーナ、サバンさん



 「皆さん、本日はお忙しい中、お集まりいただき、まことにありがとうございます。それでは、ここに集まったみんなで、ユウさんの、あの謎の匂いについて検討をくわえたいと思います」

 「「「「「はーい」」」」」

 「ええー? なんだよ、このテーマは。男のにおいなんか、俺は興味ないぞ。戦場の血の臭いなら燃えるけどな。つまらん。俺は、さっさと帰らせてもらうよ」(サバンさん、脱落)

 「……」

 「まあ、そういう人は放っておきましょう」

 「そうね」

 「そうね」

 「あの匂いの良さがわからないようじゃあね」

 「どうかと思うわ」

 「あれは、なんというか、ほんと、いいようのない匂いで、漂ってくると、頭がぼーっとしてしまうというか……」

 「そうそう、我を忘れるのよね」

 「わけもなく惹きつけられるのよね」

 「ユウさんに近づくとしてくる、甘い匂いのこと? なんか美味しそうなにおいだよね!」

 「レーナ、それはね、ユウさんの匂いと違うよ。たしかに、ユウさん、なにか甘い匂いのするものを、どこかに隠し持っているみたいだけど、それとはべつ」

 「ふーん、そうなの? じゃああたし、わかんない……」(レーナ、脱落)

 「で、ライラはわかるの? どうよ?」

 「うーん……どうなんだろ? するような。しないような……そんなにはっきりしてる?」

 「「なにいってんの。もう、間違えようないよ。同じ部屋にいるだけでわかる」」

 「そうなの? じゃあ、よくわからないなあ。だいたい、ジーナとアリシアさんは獣人だから。ヒトには、しょせん無理かもね」(ライラも、はんぶん脱落)

 「レーナも獣人だよ」

 「レーナはまだ子どもだから」

 「そういうもの?」

 「どういうものよ?」

 「じゃあ、エルフはどうなんですか、ルシア先生」

 「……」(顔を赤らめる)

 「あっ、わかるんだ」

 「……800年前の、あの旅人も、同じ匂いがしたわねぇ……」(しみじみと)

 「「「そうなんだ……」」」



 今回の結論:ユウの匂いは


      ヒトには、少なくとも意識の上ではわからない可能性が高い。

     (では、意識下ではどうなのか、それはこの時点では今だ不明)

      エルフと獣人には、はっきりわかる。

      獣人でも、子どもにはわからない。

      我を忘れるような、例えようもない、えも言われない良い匂い。

      気をつけろ、みんな、自分をしっかり保て。


 この会話をもしユウが聞いていたなら、こうつぶやいたであろう。


 「やっぱり、フェロモンだ…」

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