平日の昼間に1人ランチ

一色 サラ

・・・・

村上亜美は、仕事の合間にファミレスでご飯を食べることにした。店を入ると、案内されたのが1人なのに4人掛けのテーブルだった。

 ああっと声が出たが、店員から大丈夫ですか?と聞かれて、大丈夫ですとしか答えられなかった。こんなとき、長く居座ることが悪い気がしてくる。たぶん、そんなこと誰も気にしていないのだろう。店内は少し空席があるくらいで、賑わっているというわけではなさそうだった。

少し大きめのサイズのメニュー表を開いて、見えていく。どうしても海老フライが食べたかった。ハンバーグとセットで、1,700円で少し高かった。

 「失礼します。注文が決まりましたら、そちらのベルを鳴らしてお呼びください。」

女性の店員が水とおしぼりを持ってきた。

「すみません。このハンバーグセットください」

お腹が空き過ぎて、勢いで頼んでしまった。

「はい、えっと、ランチセットがございまして」

そう言って、メニュー表をめくっていく。そこにステーキ肉と海老フライのセットが乗っていた。

「あっ、すみません。ステーキ肉ですね。こちらのハンバーグセットでよろしいでしょうか。」

「はい、海老フライが食べたかったんで」

亜美はそういうと、女性の店員は苦笑いをした。亜美もなんでそんなこと言ってしまったのだろうと、後悔した。

「以上で、よろしいでしょうか」

「はい」

店員はそのまま、行ってしまった。ドリンクバーなども提案されたが、水で十分だった。

 「あっちはどう」と向こうの方で声がしてきた。男性2人組だった。もう、どこでもいいから座ってほしい。声が大きくて通る声なので、何を言っているのかも、少し離れた亜美の場所まで聞こえてきた。その2人組が近くを通ると、亜美の後ろの座席に座った。最悪だった。一人静かに食事をしたかったのに、少し騒がしいくなってしまった。聞こえてくるのは、ゴルフの話で、どこのホテルで待ち合わせするなど、遊びの話だった。また、競馬の話などに変わっていく。

 少し向こうの2人掛けの席に女性1人の客は座った。しばらくして、注文をしていた。そのあと、亜美のところにカトラリーが運ばれて来て、数分経って、ハンバーグが到着した。お腹が空いていたので、ハンバーグにナイフを入れた。その瞬間、後悔が頭をよぎった。写真を撮るのを忘れていた。スマホのアプリで日記を書いていた。いつも何か1枚写真を載せていた。ないときはいつも、空の写真で済ませていた。せっかくの1枚を撮ることができなくて、残念だった。

 2人掛けの女性が目に映った。カトラリーのナイフとフォークを除菌スプレーして、拭いていた。そんなにばい菌が気になるなら、なんでお店にくるんだろうと思ってしまった。。

 「こっち座りましょうか」と後ろから声が聞こえてきた。1人増えたらしい。何なんだろう。また、ゴルフの話が始まっている。どこのホテルに泊まって、誰と周るか。キャディーをつけるか。どうでもいいな。遊びにこんなに真剣になれるのはいいけど、平日の昼間から聞く内容としては気分のいい話ではない。

 ハンバーグを食べ終わって、そろそろ出ないといけなくなった。平日から、人間観察してしまった。

 また、これから営業周りだ。どっとしんどさが方に圧し掛かってくる。

 

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平日の昼間に1人ランチ 一色 サラ @Saku89make

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