閃音の戒め

「な、なんで家に?!」


「えーと……プリントを届けに来たんだけど……」


「あ……ああ、そうなの……」


「と、とりあえずプリントはポストに入れといたから!じゃ!」


 気まずい!な、仲直りはまたの機会にしよう!うん!そうしよう!


 ガチャ


「ま、待って!」


「え?」


「ど、どうせなら家でお茶していかない?!ね!というか、していきなさい!」


 えぇ………





 ▂▂▂▂▂▂▂▂





「い、今下からお茶とお菓子持ってくるから待ってて、絶対に部屋漁らないでね?!」


「漁んねぇよ………」


 つか……


「女の子の家に初めて上がったのにそんな事する度胸ねぇよ………」


 今も緊張しっぱなしだしな………!!!


「ふーん、女の子の家に上がるのは私の家が初めてなんだ…………………えへへ♪」


「お、おう……」


 な、なんか嬉しそうだな……


「じゃあ、持ってくるね♪」


「あいよ」


 バタン


 ふぅ……………………あ、


「ヤベェ!陽久留に連絡してねぇ!でも…」


 なんて連絡すっかなぁ……


「素直に言ったら絶対怒られるだろうし……かと言って言わなかったら言わなかったで後で問い詰められそうだし……」


 とりあえず、友達の家にいる、って言っとくか


「えーと、スマホスマホ……」


 あ、カバンの中入れっぱなしだ


「カバンはっと………あった」


 あれ?なんか、足の感覚が………


「イデデデデデ!」


 足が……痺れた……

 緊張していつの間にか正座してたせいだ……


「あ、やべ」


 痺れてんのに急に立ったから、平衡感覚が…


 ドシャン!


「いてて……あ!ヤバい!本棚倒しちまった!」


 急いで片付けないと……!


「って、ん?」


 これは……


「アルバム?」


 閃音の小さい頃か………………ちょっとだけなら見ても大丈夫だよな?


「バレませんように………!」


 って


「なんだ、中学の時のアルバムか」


 懐かしいなぁ


 パサっ


「ん?なんだこれ?」


 茶封筒?


「なにが入ってんだろ……」


 これは……


「写真?」


 しかもこりゃあ……



「大丈夫?!なんか大きい音がしたけ……」


「あ、おかえり」


「………………………それ、見ちゃったんだ」


「あ、勝手に見てごめん。でも、なんで俺の写真が?」


「………………戒めにしてるのよ」


「戒め?」


「うん…………私のせいで、唐太を入院させちゃったから、二度とあんな事しないようにずっと持ってるの」


 まだ………気にしてたんだな








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