第14話
しばらく。
第一次世界大戦から15年。
1926年。
アメリカの株価の大暴落によって世界恐慌が巻き起こった。
それが与えた影響は大きかった。
いや、大きすぎた。
しかし、もとより世界恐慌を知っていた僕が対抗策をかなり前から取っていたから、英米よりも被害を受けなかった。
でも、被害がないわけではない。
そもそも関東大震災があったから、どんなに頑張っても被害0にすることは不可能だ。
あれはどうしようもない。
僕に出来たのは孤児院のみんなを安全なところに送ることだけだ。
関東大震災の対応として僕がいた世界では、震災手形の再割引に応じ、取り立てを猶予するという救済措置をとった。
しかし、それが金融恐慌に繋がってしまった。
そんな失態なんかおかさない。
今までずっと貯めに貯めにいた食料を無料で配ったり、僕が運営ている店全ての商品を値引きしたり、お金を無料で配ったり。
慈善事業に慈善事業を重ね、なんとか金融恐慌が起こらないレベルにまで影響を抑え込んでみせた。
一部では震災手形とかもやったけど。
でも、致命的なレベルにまでは行っていない。
問題の世界恐慌もなんとかした。
完全にではないけど、とりあえずは娘の身売りなんて最悪の事態が起こらないようにまでは頑張った。
軍需品の生産をだんだん減らすことから始まり、オスマン帝国、中国、インドネシア、南洋諸島などの国々との不完全なブロック経済。
そして、公共事業として「弾丸列車計画」を始動させた。
弾丸列車計画は僕がいた世界でも実際にあった計画で、対馬海峡に海底トンネルを掘削し、満州国の首都新京や中華民国の北京までの直通列車を走らせるという計画だった。
ちなみにだが、この弾丸列車が今の新幹線のもとにもなっている。
最終目標としては中国全土に弾丸列車を張り巡らせ、オスマン帝国も通過し、ヨーロッパまで伸ばすことだ。
弾丸列車計画などの公共事業を積極的に行うことで雇用を増やしてみたりもした。
個人が準備し、行った対策としてはもう十分なのではなかろうか。
問題なのは日本ではなく英米。特にアメリカだ。
イギリスはブロック経済してなんとか頑張っているけど、アメリカはガチでやばめ。
民衆同士が争い、内戦さえも見えてきそうな勢いだった。
第一次世界大戦に参戦すべきだった。アメリカが参戦しなかったから、欧州が共産主義に染まったと考える人達がいて、暴動が起こったりと、元々物騒になっていたのだ。
それに追い打ちをかけるような世界恐慌。
本当にピンチそうだった。
かなりヤバそう。
そもそも共産主義勢力が資本主義勢力と貿易のほとんどを拒否しているので、更に追い打ちをかけられている。
……それに対し、共産主義勢力は世界恐慌の影響を受けていないように見える。本当にやばいかも知れない。
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