第30話 白い花

今までは、カラフルで可愛らしい花を悠陽にプレゼントしていた


現実と向き合えない弱い自分がいたから


今日は自然と仏花と呼ばれる白い花に手が伸びた


四九日はまだ先だけど、まだ供養ができていないのに


悠陽のパパとは連絡できない


八方塞がりで、今の私にできることは何もなかった


ただたばこを吸って、酒を飲むくらい


ジャニーズは手が届かないから良いのだろうと思った


夢だから


裏切らないから


好きでいても拒否されないから


エゴ丸出しの私の恋愛感情は、画面の向こうの彼らに向けられた


リアルに充実してなくても、それでも私は動画や音楽を聴いているときは、彼らの隣にいるような気がした


私はSMAPからKing & Princeまで幅広く好きなタレントがいる


いわゆる箱推し、だろう


でもJr.のグループも好きで、やっぱり気持ちが向くのだった


自分自身がドラムを叩いていることもあり、やっぱりドラマーは有無を言わさずにかっこいいと思っている


リリックもサムダマもLIFEも全部、私はドラマーを見て、聞こえないはずの低音を聞き取ろうとする


低音型感音難聴の私は、発症して以来、ドラムを触れない


触っても聞こえないから


それでも藁にもすがるように入った軽音サークルは受け入れてくれた


コロナ化のせいで活動は全くしていないし、私はドラムに触れないため、幽霊で


なんのためにサークルにいるのかも分からないくらい


私にはサークルくらいしか居場所がない


白い花が枯れる日までに、1mmでも良いから


悠陽を供養に連れて行ってあげられる勇気が出ますように


毎日、悠陽のことが大好きで


私はまた煙に想いを乗せてしまうのだった

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