第2話 どうすれば点稼ぎができるのか?

「くそう……」


 俺は我ながら汚いことばを吐く。


「今日の英語のテストは、相も変わらず零点だった」


 そもそも、俺は英語はできない。『記号記憶障害』俺はそうとでも言うべきハンデを抱えて生きている。


 だがしかし、まあ、あれだこの学校は私立だから得意分野が良ければなんとかなる。俺は国語や歴史の記述。気象や天文や生物、公民なんかでなんとか点を稼いでいる状態だ。


 まあ、俺のいる『総合商業科』はオール零点でも進級できるとんでない学科だかな。


 実際礼子など自分の名前も書けないのに編入できた。


 まあ、最もそれは理事長の孫娘であり、この学校に莫大な寄付をしている大資本家の娘ということで、誰も知ることのできない神秘的な力が働いていると、もっぱらの噂だかな。


 ちなみに今教室にいるのは俺だけだ。


 というか授業に出てたのも俺だけだ。


 誰も彼もが授業をサボタージュすなわちサボっているというわけだ。


 1/3の出席日数さえ足りていればテストの点数などどうなっても良いというシステムでは総合商業科のシステムではこうなることもあるわけだ。


 もちろん英語教師もやる気はない。


 今日などSFの話しかしてなかった。


 とにかく俺は白紙の英語のテストをゴミ箱に捨て(俺一人なので名前すら書かなかった)部室に向かう。


 俺は一応帰宅部てはない。たがまあ部活には所属いない、同好会に所属している。


 『世界の真理研究会』


 幼馴染みが会長なので付き合いで入った。


 ガララ。


 ドアを開けると


「遅い!なんだそのやる気のない態度は……もっとこうさ、シャキっとしなきゃシャキっと!」


 いきなりの叱り飛ばされる。


「えー別に辞めてもいいけど」 


 と言うと


「お待ちください!やめてください!そのようなことをするのはあまりにもよろしくない!とにかく辞めないで!」


 同好会は一人でできない。それゆえに俺は必須。


 何でも将来的に何らかの秘密結社を作ることで世界征服をするらしい。なんか昔からそんなことを言っていた。


 彼女の名前は三枝友華さえぐさともかとにかく横柄で偉そうでウザい奴で友達なんていない。


 かくいう俺も友華を友達とは思っていたない。準友達といったところだ。


「とにかくだ今回の議題はいかにして上海閥と協力して中華人民共和国を乗っ取るかだ。その計画を考えるぞ」


 友華は汚ねーミニ黒板に中華乗っ取り計画と書き込む。


「憐れなほど薄っぺらな計画だろう、第一人脈がないじゃないか?」


 俺も友華もそんな中国のお偉いさんと友達になれるほどのコネはない。


 一体どのようにしてコネクションをつくあげると言うのか?それまったく謎である。


「まあ、まて。昨日ネットでとてつもなく儲かる投資術の講義の料金を払ってきた。これを利用してコネを作……」


「ヤッホー!遊びに来たよーいつ!」


 礼子が急に入ってくる。

 

「ウッス……であ、あのとにかくスゴく儲かる投資があるので投資しない?みんなから資金を募集して経営破綻した発展途上国の公共事業をM&Aして人案整理して格付け会社の格を上げて売却して儲けるって方法なんだ」


 それはとんでもない犯罪行為なのでは?


「えーよく分かんない?のかな?」


 どうやら礼子は自分が分からないかも分からないようだ。


「おいおい、それはダークなマネーやパワーが出てくる話じゃないか、お前ごときに処理できる問題ではない!諦めろ!」


 俺の忠告に


「ふうん、安心しろ優秀なハゲ鷹ファンドの連中と話を付ける、この一ヶ月前ネットで凄そうなハゲ鷹ファンドのメルアド知ったメール送っても何の反応もないが。まあ昨日警察が来てなんか言われたが私はそんなの気にしないダークマネーで儲けまくる、それが私の夢だ」 


 アホクサ一人で勝手に破滅しろ。行ってることも矛盾して時系列がおかしい。一体どういういことだ?


「というわけで私に投資しないか?とんでもなく儲かるぞ」  


 詐欺師かこいつ!


「もう行くぞ!礼子こんなバカな奴と話をすることはない。友華も少しは頭を冷やせ」


 俺と礼子は部室を出た。


「よくわかんないけど、わかった!やっぱり乙の言うことを聞いていれば人生は成功するのよ!じゃあね……誰だか分からない人」


 こんなんで騙せると思う根性がすごいわ。

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